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第1話
辿る指先……
囁く声……
抱きしめられる腕の強さ……
何もかもあの人とは違うのに────
「俺の顔に何か付いてる?」
「いや」
「じゃあさ、そういう趣味?」
「は?」
「シてる時、目……閉じないの」
「違う」
「ふーん……ま、別にどっちでもいいけど」
何もかも違うのに、
「……いいから、早く」
「はいはい、じゃあ激しくするよ……ッ」
それは、
「……気持ちいい?」
「……いッ…………んッ」
「また俺のこと見てる」
忘れられないあの人に
“顔”
がそっくりだから……
気持ちを隠し、偽り、
あの人を秘かに想い、
禁断の闇へと堕ちていく────
~カウンターフィット エモーション~
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