90 / 199

第90話

「永絆、ちゃんと息して」  言われて自分が息を止めていた事に気付く。慌てて息を吸い込むと、入口付近にいた熱が淫猥な音を立てて中へと進み出した。 「くっ……あ、あいっ……」  内襞が藍の半身の頭を飲み込もうとして蠢くのが永絆にもわかった。同時にまだ括れの部分までしか入っていないということも。  その場所で止まったまま、藍が深く息を吐く。既に余裕のない永絆は短い呼吸を何度も繰り返し括れ部分までがじっくり馴染んでいくのを不思議な気持ちで感じていた。 「永絆、酷くしたくなかったけど……ごめん、無理」 「……え」  唇を噛んだ藍が絡めた手を強く握った瞬間、残りの熱が勢いよく永絆の奥まで貫かれた。 「ああっ!」  強過ぎる刺激に声が大きくなり、先程直前で我慢させられた欲が勢いよく爆ぜた。  腹に散る白濁を指で掬って永絆に見せつけるように指を舐めた藍の仕草に強い色気を感じて、欲を出したばかりなのにまた半身が反応し始めた。  奥の方で存在感を出す藍自身に圧迫感を抱きながらも、自分の中にいる事に悦びを覚え涙が出そうになった。

ともだちにシェアしよう!