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第181話

 仕事を急に辞めるわけにはいかないからと、紫ノ宮に戻るのは一ヶ月後になった。  その間も藍はしっかりと自分の仕事をこなし、手を抜いたりはしなかった。むしろやり甲斐すら感じていた藍は辞めるのを惜しんでいた。  藍がこのまま仕事を続けたいと言うのなら永絆はそれに従うつもりでいた。ここに残るのも、紫ノ宮に戻るのも、全て藍に任せる事にした。自分は藍を信じて何処へでもついて行く。その覚悟がしっかりと出来ていた。 「なぁ、永絆」 「なに?」  一緒の布団に並んで眠りに落ちる前に、藍が永絆の髪を撫でながら名前を呼んだ。 「本当に、紫ノ宮に行ってもいいのか? 無理してないか?」 「心配なの?」 「だってお前にとって決して良い場所じゃないだろ? ストレスがたまって身体に何かあれば大変だし……」  もぞもぞと動いて藍の方を向くと、永絆はその背中に腕を回した。 「それでも藍と一緒にいたいから」 「それは俺もだけどさ……紫ノ宮じゃなくても、ここに居てもいいんだ。永絆が安心出来る場所で過ごすのが一番だろ?」 「藍、オレのね」  いつもいつも、飽きるくらい番の事を考えてくれている藍をただひたすら愛しいと思う。

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