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第204話

***  そっと目を開ける。  隣にはまだ寝息をたてて眠る藍の姿がある。  その寝顔を黙って見つめていた。藍が目を覚ますまでずっと、飽きもせずに。  やがて、もぞもぞと動き出した藍が薄目を開けてこちらを見た。  まだ眠気眼の瞳に永絆の姿が映る。  そっと口付けて、永絆は言葉を紡いだ。    それは愛しい花の名前だった――。               【了】

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