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全部杉田さんのせいだ
こうして日にちは過ぎていった…あれから杉田さんはオレにあの赤い髪の人の話をしなかった。
「………はいもしもし、翔さん?あ、お世話になってます。」
「………」
でも杉田さん自身はアイツとよく連絡をとってるみたいで電話してたりメッセージを送りあってるのを見たことがあった。
………オレの事…もう一回ぐらい誘えばいいのに…
自分から行かないと言ったくせにそんな事を思ったりもした。でもなんでそんな風に思うのかはわからなかった。
「アル、今日はこれから雑誌の撮影で午後からも取材が入ってるからね。」
「………」
「……アル…?」
「………わかった…」
杉田さんもよそよそしくなってまたオレを困った顔で見ていた。お仕事があるから一緒にいるけど家ではほとんど話さなくなってしまったし、少し前にイライラして『狭いし一緒になんて寝たくない』って言ってしまってから気まずくて一緒にも眠っていなかった。
……夜眠れなくて眠いし…ムラムラするし…イライラするし……なんか…嫌な感じ…
「ちっがぁ〜う!!んもぅ!!アルちゃん顔がこっわくなってるわよぅ!!スマイルよスマ〜イル、ほっらぁ、こう!!春の庭で花が開くような…」
「……わかんないよおっさ…」
「ピエールさん…デショ?」
「………ピエールさん…」
仕事もこんな感じで、星野さんも椿もオレには言ってこないけれど少なくなってるみたいだった。
「ノンッ!!アルちゃぁぁんちょっと前までばりっばりのイケッイケな感じだったじゃないのよ〜ぅ!!」
「………」
こうやっていっつも言われては、いろんな人に調子悪いの?大丈夫?って心配された。
………オレは調子悪くない…全部…杉田さんのせいだ…
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