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懸想6※
幸は熱い何かが、自分の身体を貫いたような感覚を覚えた。
内臓が口から出てしまいそうな感覚に幸は恐怖する。
呼吸しようにも息の吸い方を忘れてしまったかのように空気が取り込めないという状態が数秒続いた。
息を詰める幸を見かねてアマテラスは口付けと共に空気を送る。
少し苦しさが紛れ、アマテラスを受け入れようと息を吐き出し力を抜くことに専念した。
これは二度の交わりで幸の身体が学んだことだ。
「は、ぅ……はぁっ、はっ、ぁ」
「これが俺の熱だ、紫。どうだ?分かるか?」
身体の中に別の体温があるのが不思議な感覚だった。
同じように脈を刻んでいる気がするほど、存在感がある。
(僕の中に光様がいる…ああ、こんなにも熱かったんだ…苦しいけど、嬉しい)
「お、きくて…どくどくしてる、気がします…ふしぎ、な感覚です。ひかるさまがいるのが分かる…」
きっとここまで貫かれているのだろうと、幸は自分の手で下腹辺りをそっと撫でた。
嬉し涙がぽろりと零れ、心配になったアマテラスは目尻に吸い付く。
『大丈夫です』と短く告げると、目を細めて安堵したようにはにかみ、口を開いた。
「お前の奥深くまで触れているな…」
「あ、んん…っ」
アマテラスが同じように下腹を触れただけなのに敏感に感じてしまって、嬌声が零れた。
「おっと、そんなに締め付けてくれるなよ?
まだ、もっと…お前を感じたい」
「わ、たくしも、です…もっとひかる、さまを感じたいです」
「…動いても良いということか?」
幸が手を伸ばせば、それに応えるようにアマテラスが脚の間に身体を滑り込ませ、身体を密着させてきた。
幸は首に腕を絡めてすんとアマテラスの香りを嗅いだ。
嗅ぎなれない匂いだけれど、知っている香り。
落ち着く香りだった。
大好きな香りを胸いっぱいに溜めて、こくりと頷いた。
「…っ、優しくする。愛している。紫」
「んあぁ…っ!っん、ひか、るさま…っ!」
一突きされたいや、軽く腰を引かれただけで強い快感で幸は声を上げた。
恥ずかしくて息を詰める幸を見て、くつりとアマテラスが笑みを零し、何度も角度を変えて口付けをした。
「これでもう…僕はひかるさまの…もの」
「ああ、やっと…だな」
「ん、む、うんっん…うれひ、んっ」
口付けをしている時もアマテラスの腰は止まらない。
引き抜かれるだけでくぐもった声が発せられる。
「俺もだ」
短くそう答えてくれるアマテラスに胸がきゅぅと締め付けられる。
ゆっくりとした幸を慣れさせるような抜き挿しから、徐々にだが、確実に快感を引き出す強く穿つようなものに変化していった。
「ああ、っあん…っ!」
「もっとだ、もっと啼け」
「んんっ、あ!き、もち…っ!好き、好きれす、ひかる、ひゃ、ま…っ!」
「俺もだ…っ、愛している」
息を詰めながらアマテラスは幸に愛を囁く。
誰かに求められ、それに伴う充足感と狂おしいほどの快感に満たされ、幸は顔を更に赤くしながら歓喜でアマテラスの欲望ををきゅっと食い締めた。
愛を送り合う行為は誰にも邪魔されず、夜通し行われた。
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