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ポチくんの憂鬱-10
かろうじて問いかけた凪に蜩はジェスチャーで回答する。
長い舌を大胆に伸ばしたかと思うと虚空をべろりと舐め上げてみせたのだ。
その仕草を見ただけで凪の性器は一段と硬さを増した。
「ぁ……して……俺の……チンチンしゃぶって……くださぃ」
涙でいっぱいになった瞳で、上擦った声で、凪は蜩に希う。
目元にかかる前髪を邪魔臭そうにかき上げ、蜩は、不埒な微笑を浮かべた。
少々荒い手つきで火照った凪の体をベッドの上へ押し倒し、即座にボクサーパンツとハーフパンツを取り払い、微笑を浮かべた口元のまま先走りを吸い上げるような口淫を始めた。
弓なりに背中を反らした凪は蜩の口腔に囚われた瞬間、一気に上り詰めた。
濃厚な白濁を不埒な舌の上にぶちまける。
それでも蜩は離れなかった。
片手で陰茎を扱き、もう片方の手は胸元へと伸ばして突起を小刻みに蹂躙した。
「ぁ……ぁ……うぁ……ぁ」
際どい絶頂が連続し、凪は、真っ白なシーツの上で全身を痙攣させた。
「や……ぁ、死んじゃう……やだぁ……」
翌日、学校が終わって校外へと出た凪は見覚えのある外車が視界に入って立ち止まった。
しかしフロントガラス越しにぼんやり見える運転手のシルエットに、ああ、違うな、と思い至って足早に通り過ぎようとしたのだが。
「おーい、ポチ君」
ぎょっとして視線を向けると窓ガラスの向こうで見知らぬ男が手を振っていた。
いや、見知らぬ男ではない。
オールバックで黒縁の眼鏡をかけ、ネクタイを締め、ストライプ柄のスーツを身に着けた彼は。
「俺だよ、蜩だよー」
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