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高校生編 第1話
高校三年生の秋。
生徒会は文化祭の準備で、多忙を極めていた。
文化祭後に世代交代を控えている生徒会に属する三年生としては、最後のイベントを成功させるべく、日々邁進している。
生徒会長の結城 紘一 は、生徒会室で各クラスが提出した資料に目を通しながら、承認印を押印していた。
「あ、蒼のクラスはお化け屋敷か……行きたいな……」
沢圦 蒼 は紘一の家の三軒となりに住む、二歳年下の幼なじみ。そして、紘一の片想いの相手だ。
「生徒会の役員は、各クラスのイベントを回っている時間はありませんからね」
紘一がぼそりと呟いた一言を聞き逃すことなく、生徒会書記の二年生佐久間 翔太 がため息を吐く。
「佐久間は俺の恋を応援してくれないのか……」
さめざめと泣いたふりをする紘一に、翔太はさらにため息を吐く。
紘一の片想いは生徒会内部では周知の事実で、周りが何度も鼓舞するも、すべて徒労に終わっていた。
「さっさと告白してください。アルファなんだから振られることはないでしょう!」
なかなか煮え切らない態度の紘一に、翔太がピシャリと告げる。
「アルファでも、振られることもある! ……多分。」
「……多分ってことは、今まで振られたことないってことでしょう。何をそんなに尻込みする必要があるんです」
「俺は、蒼にだけは嫌われたくない……。告白して振られて関係がギクシャクするぐらいなら、これからも今のままでいい」
生徒会は別名アルファ会と呼ばれており、学校内のアルファしか生徒会に入れないのは暗黙のルールだ。その中でも絶大な人気とカリスマ性を備えているのが、結城紘一だ。しかし、蓋を開ければ、自分に自信のない、幼なじみのベータの蒼に告白もできない、残念なアルファだ。
「わかりました。私が協力しましょう。『近所のお兄ちゃん』から『恋人にしたい相手』にランクアップできるように」
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