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第5話
「は? 射……えっ!?」
赤いヘッドランプが細いレーザーに変わった。ガシャン、という音と共に、ロボットが自分に銃口を向けて来た。
(ヤバい……!)
これは威嚇射撃じゃない。本気で自分を殺すつもりだ。
本能的な危険を感じ、4 は慌てて近くの建物に向かって逃走した。一拍遅れて銃声がして、銃弾が地面を穿っていった。
なんとか建物の影に逃げ込み、道路の様子を窺う。
(な、なんだよ、あのロボット……!)
今度見つかったらおしまいだ。4 は武器らしい武器を持っていないし、こうして逃げるだけで精一杯である。
というか、あんなロボットいたっけ? 夜間外出なんてほとんどしたことないから、存在自体知らなかった。
多分、見回りに使われる夜間限定のオートロボットだと思うが、三回警告しただけで問答無用で射殺してくるとか、なんて危険極まりないプログラムなんだろう。つくづくプログラムを書き換えてやりたくなった。
「ナンバー4 、発見。ナンバー4 、発見」
「っ!?」
赤いレーザーが自分を真っ直ぐ指し示している。夜間対応の赤外線カメラで全方位を見回せるロボットに死角はないようだった。
「夜間外出、警告三回目。累積三回により、射殺します」
4 が逃げるよりも早く、小銃が火を噴いた。
「っ……!」
けれど、予想したような痛みは襲ってこなかった。自分に命中するよりも先に、横から伸びて来た鉄パイプに銃弾が弾き飛ばされた。
「えっ……?」
目の前に自分と同じ背格好の少年がいる。彼は構えた鉄パイプで器用に銃弾をガードしつつ、ロボットに飛び掛かっていった。
彼はまず頭部の全方位カメラを破壊し、次いで小銃が射出された胴体部分を叩いて壊した。
呆気にとられている4 にかまわず、彼は半壊したロボットのキャタピラ部分をも破壊した。
最後に豪快に鉄パイプを上から突き刺し、ゴミでも扱うかのように道端に向かって軽く蹴飛ばした。
ロボットは全身から火花を噴出させて全壊した。
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