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第6話
「あんた、相変わらず鈍臭いね。警備ロボットの巡回路くらい、覚えといた方がいいよ」
7 がこちらを一瞥した。自分と同じ顔のはずなのに、彼の方が随分と頼もしく精悍に見える。
4 はちょっと苦笑しながら答えた。
「ありがとう、7 。助かったよ」
「……あれ、僕が何番かわかるの?」
「わかるに決まってるだろ。俺は1~7までの全員見分けがつくよ」
「ふーん……? 全員の見分けがつくなんて変な特技を持ってるね。僕は全員同じにしか見えない」
「じゃあ、俺のことも何番かわからないのか?」
「……さすがにわかるよ。あんたみたいに鈍臭いヤツは一体しかいないからね、4 」
7 は腰に手を当てつつ、こちらの全身を眺め見た。
「ていうかあんた、なんで丸腰で出て来てんの? 夜間外出が三回見つかったら射殺ってルール、知らないわけ?」
「……え? そんなルールあったっけ?」
「はあ、ホント呑気だな。そのルールを軽視したから、8 は四年で死んだんじゃないか」
「あ、そうだっけ? 俺、その頃のことはあまりよく覚えてなくて。ヴェルトマー公爵の希望で七つ子になったんだと思ってた」
原則は八つ子のはずなのに、1~7までしかいないのはどうもおかしいと思っていたのだ。その謎がやっと解けた。
「ありがとう、7 。なんかスッキリした。ハッキリした正解がわかると気持ちいいな」
「……はあ。なんかあんたといると、いろんな意味で脱力してくる」
おかしなことを言ったつもりはないのに、何故かものすごく呆れられてしまった。
「まあいいや。さっさと寮に戻ろう。またロボットに見つかると面倒だしね」
そう言って、7 は背を向けて歩き出した。が、歩き方が少し変だ。右足を引きずるようにして歩いている。
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