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第1話

子づくりしよ! 「子づくりしよう」  それは、星がまたたく冬の夜のことだった。  恋人である真斗が、仕事から帰ってきたと思うとそう言ってきたのだ。 「…………へ?」  これが女性に向けての言葉ならまだしも、僕と真斗は男同士で子どもなんて産めないカラダだ。  怪げんそうに見つめる僕に真斗は、ポケットから何かを取り出すとつき出してきた。 「あの薬が手に入ったんだよ! やっと」 「ほんと?」  あの薬とは、数年前に開発されたカラダの生殖機能を変える薬のことだ。  あまり生産されていないことから薬の値が高く、いろいろとリスクもある薬だが男同士、女同士でも子供が作れるため。この薬を求める声は多い。  僕と真斗もずっと欲しいねと話していた薬だ。 「じゃあ、この薬を飲めば……」 「俺たちに子供ができるんだよ」  真斗と僕の子供。想像するだけでドキドキと胸が高鳴る。  産まれるのは男の子だろうか、女の子だろうか。どちらにしても、真斗によく似たまっすくで心の優しい子になって欲しい。 「なぁ、さっそくしてみないか?」  まだ見ぬ子供を想像してにやけている僕に、真斗が覆いかぶさるように迫ってきた。 「え、もう?」 「…………ダメか?」  不安げにみつめる真斗がおかしくて、僕はクスクス笑いながら彼を抱きしめた。 「せっかちだね、君は」 「む、しかたないだろ」  頬を膨らませ、不機嫌になった彼の唇を笑いながらふさいだ。  触れるようなキスからだんだんと深いものへと変わる。息を乱しながら唇をはなすと、僕と真斗の間に銀色の糸がつたった。 「……のんで」  ピンク色の薬をつまむと僕の唇に押し付ける。  僕は、彼の指ごと薬を口に含んだ。  薬を飲み込んだあと、僕は彼のモノを舐めまわすようにゴツゴツした指に舌を絡めた。 「……っ、みちる」  興奮気味に僕の名前を呼んだ真斗は、指をムリヤリ引き抜くと噛みつくような勢いで首元に吸いついた。 「……なぁ、変わった?」  真斗の手が服の中へと入り込み、僕のお腹をさすりながらそう言った。 「んっ……まだ、だよ。変わるのに2週間以上はかかるよ」  ぴたり、と動き回ってた手が止まり僕は首をかしげる。 「真斗?」 「…………2週間、かかるのか?」 「そうだよ、はやくて2週間はかかるけど、しらなかったの?」  大きく頷いた真斗の姿をみて僕は大きくため息をはいた。 「じゃあ、この薬をのんだら僕は一生女の子の機能をもったままっていうのは?」 「……それは、知ってる。みちるの体がどうであれ、みちるがみちるのままなら俺は構わない」 「真斗……」  僕自身を思ってくれる真斗に、改めて惚れなおしてしまう。 「でも、そうか、いまのみちるとはあと数回しかできないのか」 「え、真斗……?」  戸惑う僕に、彼はなにかを企むようにニコリと笑ってみせる。  そんな彼から僕は、はなれようと数歩後ろへ下がるが、すぐに背中は何かにぶつかってしまった。 「みちるの体に女の子が増える前に、たくさんえっちしよっか」  真斗の手が再び僕の体に触れた。

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