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アイドルと付き合う
その日は生歌番組がある日だ。
今、生番組自体あまりないから、生でアイツを見れるのは嬉しい。
元気かな?風邪引いてないかな?
この前、メールしたときは、「孔のほうが外仕事なんだから、気をつけてよ。」と心配された。
早めに仕事を終え、事務所に帰ってきて、明日の打ち合わせをやりながらチラチラと時計に目を走らせてたら
「なんだ孔、時計ばっかみて。」とからかわれた。
「あ~金曜日だしなー彼女とデートかぁ?」
ハッハッハ
……いや。違うし。と心の中で反論し、
「違いますよ。」と軽口をたたいてたら時間になった。
俺は事務所のテレビのチャンネルを勝手にかえ歌番組を見始めた。
登場歌手が順番に降りてくる。アイツがいるグループは今や国民的アイドル。多分最後かな~なんて思ってたら、一段と大きな、キャーと言う黄色声とともにアイツのグループがさっそうと、登場した。が。。。。
登場した場面を見て、俺は思わず
立ち上がってしまった。
「……え!」いない。アイツがいない。
司会者の方が「……インフルエンザなんだって
?」グループのメンバーに聞いてる。
「そうなんですよ。本当、楽しみにしてたファンの方々に申し訳ありません。」
メンバーが一斉に謝罪の言葉を口にした。
「ちょっとリハーサル中に具合が悪くなり、病院にいったらインフルエンザって事で。」
「今日は4人ですが頑張ります。ダイ!ゆっくり休めよ。」
カメラごしにアイツにメッセージを送ってる、メンバーを横目にみながら、事務所の外に出て電話をかけた。
「ッルッルッル……只今。」
何回かのコール音でたのは無機質な留守電。
「なんだよ!」
やけになり、携帯にどなったところで
「電話でないんですかぁ~」と後輩の根岸が声を掛けてきた。
「……」
「具合悪くて寝てるんじゃないっか?。それより社長が呼んでますよ。早く。早く。」
「あ。あ。」
俺は特に返事らしい返事もせずに事務所に戻った。
事務所に戻ると全員がこちらを見てる。
「なんすか?」
俺のその言葉をみんなが、いや別に
って感じで聞いてる
すると、社長が
「孔。お前明日から休みな。」
「は?」
俺はその言葉の意味を全然理解できなかった。「ほら、あれだ。」
「有給。」隣から事務の後輩が社長に助け舟をだした。
「そう。有給だよ。お前、全然休まないからたまってるだろ」
そう。土木関係の会社には珍しく、福利厚生が充実してるうちの会社は有給が発生する。
え……ってびっくりして動かない俺の前に、さっきの後輩事務により、有給申請なる紙がだされた。
「孔さん。こことここ書いて。あー印鑑は後でいいですよ。」
「1週間くらいやすんでも平気だぞ。」
社長の隣にいた現場監督から声がかかった。
「今は、納期も間に合ってるから」
そうはいっても……現場監督の言葉を聞いてたら、
「じゃ!1週間で。日にちあってるよね~」
紙の前で俺の代わりに紙に書いてる後輩事務がいった?
「ほら。孔さん書いて!」
後輩事務に急かされ、俺は有給の申請をした。
「んじゃ。おい。根岸、孔ヤツ家まで送って、お前、明日車乗ってこい。」
社長の指示がでて、「ウィ~す」って根岸が返事をして終了。
そのまま、俺は根岸に送られて家に帰った。
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