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「は……ッ……ッ……ちょ、琉真……ッ……ペースはや……ッ」 麻貴は目尻に涙を滲ませてついつい弱音を吐いた。 がっちり掴まれた腰。 後ろから何度も激しく突き上げられる。 紛れもない高速ピストンで奥の奥まで。 「むり……腰、止まんない……」 全ての服を無造作に脱ぎ捨てて全裸になった琉真はボソリと呟いた。 四つん這いになって自分に揺さぶられている、ワイシャツと靴下のみを身に着けた無防備な麻貴にうっとりしながら。 じっとりと熱を孕んだ麻貴のナカに夢中になった。 「んっ、っ、はぁっ、ぁっ、ぅっ」 律動に合わせて麻貴は喘いだ。 腹の下でもどかしげに仰け反るペニス先端から透明な先走りの糸を滴らせ、シーツを力任せに握り締め、ずっと切なげに眉根を寄せていた。 「……麻貴さん、かわいい……」 「ッ……う、わ……うそだろ……っ……?」 両腕を後ろに引っ張り上げられ、手綱を引くように上半身を起こされたところを、パンパンと荒々しく攻め立てられた。 麻貴は仰け反った。 目の前が爆ぜるみたいな恍惚に射抜かれて、琉真の肉杭を尻膣内できつく搾り立て、射精を伴わないドライオーガズムに至った。 「ッ……ッ……ッ……!!」 「ッ……めちゃくちゃ、今、締まった……」 ぎゅうぎゅう搾り立てられ、甘い戦慄に下半身を犯された琉真は一先ず動くのを止めた。 「今、いったの……?」 返事はなく、背後から顔を覗き込んでみれば下顎に唾液をツゥ……と伝わらせて麻貴は感極まっていた。 腹底を堪らなくムズムズさせた琉真はヨダレ塗れの唇にまたキスをした。 「っ……ふ……」 不安定な体勢だったため二人諸共ベッドに崩れ落ちる。 それでもキスを続け、浅くなりかけた繋がりを欲望に忠実に深く濃密なものに戻した。 ベッドに俯せになった麻貴の傍らに両手を突かせ、奥までぬかるむ尻膣にペニスを打ちつける。 懲りずに込み上げてくる射精欲に平伏して最奥ばかり連打した。 「お前っ……寝バックとか、生意気だぞ……ッ」 「はぁッ……はぁッ……麻貴さん……たまんない……」 「ッ……そうだな、俺も……琉真が堪らない……」 そんな台詞を捧げられて琉真は益々堪らなくなった。 「う、わッ」 いきなり麻貴を引っ繰り返した。 引っ繰り返された麻貴はびっくりするのと同時に、後孔奥のあらぬところを擦り上げられて危うい恍惚に下腹部を痺れさせた。 「……麻貴さん……」 隙のないヘアスタイルだったはずが、乱れ、汗に湿った髪は目許に伝って。 シルバーのピアスのモチーフが悩ましげな光を帯びていた。 「あ……琉真……」 引き千切る勢いでワイシャツのボタンを外されたかと思うとインナーのシャツを大胆に捲り上げられて。 胸の尖りを舐められた。 「さっきのお返し」 か弱げな突起を舌先でいじめ、吸い、甘噛みして。 琉真は二人の狭間でピクピクと悶えていたペニスを強めにしごいた。 「ん……ッ」 「ほら、麻貴さんもまた……濃いやつ射精()して……?」 「ッ……お前、いつからそんな……ッ……あ、あ、あ……ッ」 「いつからこんな生意気になったか知りたい……?」 「ッ……ッ……先っぽばっかり擦るな……ッ」 「麻貴さんに挑発されてる内に、俺の反抗心、今頃やっと目覚めたみたい……」 「ッ……ッ……ほんと、もう……いき、そ……」 「お利口さんじゃなくなってごめん……」 音まで立てて乳首にむしゃぶりつかれて麻貴は喉を反らした。 盛んに腰を振る年下彼氏を抱き寄せる。 色気滴る首筋に猛烈に誘惑されて、ガブリ、噛みついた。 「あッ」 「ッ、う、ぁ……射精()る……ッ……!」 不意討ちの刺激を浴びせられて琉真はついつい……加減なしにペニスを激しく愛撫されて麻貴も共に。 頭の芯まで発情するみたいな絶頂を共有した。 「……ン……麻貴さん……」 急いていた呼吸が落ち着き始めた頃、琉真は身を寄せて年上彼氏に甘えてきた。 ボサボサになってしまった頭を撫でてやり、立て続く激務で疲労感の滲む目を改めて愛情でいっぱいにし、麻貴は言う。 「そういえば明日バレンタインデーだったな……チョコ、用意してればよかった」 「……それって、明日は会えないってこと……?」 「……ごめんな」 琉真は首を左右に振った。 「今日会えたから。次に会えるまでの励みにする」 「……バカ、お前……やっぱりお利口さん……」 麻貴は自分に乗っかる琉真を改めて抱きしめた。 もっと一緒にいたいと駄々をこねる本能。 門限までに帰さなければと冷静に諭す理性。 健気な琉真を掻き抱いてひっそりと葛藤する年上リーマンなのだった……。 「琉真」 琉真は耳を疑った。 会いたい会いたいと、昨夜別れてからずっと淋しがっている心が聞かせた幻聴かと思った。 放課後だった。 他のクラスよりも帰りのHRが早めに終了し、琉真は駆け足になって教室を出、ずっと速度を落とさずに廊下や階段を疾走し、玄関で靴を履き替えると、また全速力で走って校門を抜けて。 疎らにいる通行人を練って通学路を突っ走っていたところで背後から声をかけられた。 「お前、一体どうした、見たいアニメでもあるのか?」 昨日と同じコート、中に着ているスーツやセーターは昨日と違うビジネスコーデに身を固めた麻貴が後ろに立っていた。 「はぁ……っ……麻貴……さん」 ぜぇぜぇしている琉真が両手に提げている荷物に麻貴は目を留める。 「すごいな。今日一日でそんなにもらったのか、チョコレート」 「ッ……義理チョコだから、全部……でも、もうこれ以上もらっても困るし……HR済んだらダッシュで学校出てきた……」 「本当すごいな」 「麻貴さん……仕事中……?」 「うん。そこの医大にウチの商品納品してきた。車も停めてる。今から戻るところ」 社用車を近場のコインパーキングに停めてきた麻貴は、まだどこか現実味がなくてぼんやりしている琉真に笑いかけた。 「学校の近く、うろうろしてたら会えるかと思って」 琉真は忙しなく瞬きした。 「こんなところでごめんな」 コートのポケットから、シックな焦げ茶のリボンが巻かれた小さな箱をブレザーのポケットに捻じ込まれると、走ってカッカしていた褐色頬をさらに熱くさせた。 「……麻貴さんに渡す分、持ってない……」 「え? ああ、じゃあホワイトデー期待してるから」 「……はい」 「なんでいきなり敬語?」 「……はい」 照れている琉真に麻貴は笑った。 「じゃあな」 「っ……うん」 「時間できたら連絡するから」 「うん」 来た道を戻っていく麻貴の後ろ姿を立ち止まって見送ろうとした琉真だったが。 数メートル先で不意に踵を返して足早に戻ってきた麻貴に、きょとんとした。 「今、琉真に会えたから。俺も仕事頑張れる」 麻貴はそれだけ告げると今度こそ本当に来た道を戻って去っていった。 曲がり角を曲がって見えなくなるまで見送った琉真も、遊ばされた毛先を靡かせて回れ右し、ちょっとだけ早めの下校を再開させた。 麻貴さん、仕事頑張ってね。 俺、応援してるから。 次に会えたとき、チョコレートありがとうって、ちゃんとお礼言うから。 いつもと同じ帰り道が色鮮やかに見えて。 琉真は誰にも見られないよう、俯いてこっそり笑い、幸せを独り占めした。 end

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