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「誰がそんなことするか……ッ」
夕方、風見の的外れなアドバイスを聞いた瞬間、琉真は彼の胸倉を引っ掴んだ。
「うそついて騙して試すみたいなこと麻貴さんにできるか!」
『麻貴さんから離れろ』
初対面のとき以上に激昂している容赦のない琉真に風見は最初呆気にとられていた。
周囲に注目されている現状にはたと気がつくと、今にも引っ掻いてきそうな琉真の肩をポンポン叩いて「落ち着いて、高校生くん、俺が悪かった」と非を詫びた。
「でも暴力行為はよろしくないよ」
「……お前が変なこと言うからだ」
怒れる琉真は腹立たしいながらも風見から一歩離れた。
「まぁ、もしも君がそんなこと言ったら麻貴は縋りついてくるんじゃない?」
「知らない、そんなこと一生言わないから、知らない」
「は……」
重厚な艶を発するレザーグローブの下、風見は、その薬指に未だに結婚指輪をしていなかった。
「俺はバッサリ切り捨てられたけど」
結婚する予定は本当にあったのだ。
あの当時は。
「じゃ、麻貴によろしく」
乱れていた服装を整えて風見は颯爽と去って行った。
彼には暴力的な行為を振るってばかりだと、ちょっと反省し、でもやっぱり許せないと、余裕ありげな後ろ姿を琉真は睨んで見送った……。
「琉真の、久し振り……」
やや散かった感のあるワンルーム。
ベッドの上でストライプ柄のネクタイを自ら剥ぎ取り、ワイシャツと靴下だけという姿になった麻貴は何とも扇情的に唇を歪ませた。
「……麻貴さん……」
ブレザーを脱ぎ捨て、カーディガンを着用したままの琉真は自分に馬乗りになっている麻貴を熱っぽい眼差しで見つめた。
久し振りの麻貴のナカ。
解す手間を省くために用いられたローション。
ペニスが甲斐甲斐しく包み込まれた。
「ん……」
悶々とうねる尻膣の締めつけに琉真が呻吟したら「かわい……」と麻貴はよがる年下彼氏に見惚れた。
久し振りに会って、食事も疎かにして、即がっつき合って。
情緒に欠けた興奮に二人してどっぷり溺れた。
「お前の、ぬるぬるしてるから、もうこんな奥まで……」
麻貴はワイシャツ下の下腹部を意味深になぞってみせた。
ヤラシイ仕草を目の当たりにした琉真はゴクリと息を呑む。
「ん……今、ビクッてした……? まさかもう射精する気満々か……?」
「ッ……麻貴さん、が……えろいから……」
「俺のせい……? まぁ、俺も……もうこんなだけど……」
半勃ちになった自分のペニスを緩く握り締め、麻貴は、動き出した。
後孔を貫く、はちきれんばかりの若々しいペニスを軸にして腰を回す。
引き締まった腹に両手を突かせて小刻みに前後に律動したり。
もったいぶったロングストロークで腰を上下させたり。
「ッ……ッ……ほんと……射精 る、かも……ッ」
過激なおもてなしに琉真が咄嗟に弱音を吐くと麻貴はそんざいに笑った。
「いいよ……? 溜まってた濃いやつ、俺に注いでみな……?」
年上彼氏の甘々な誘惑に琉真は素直にそそのかされた。
一頻り動いていた彼の腰を掴んで、五指を食い込ませ、自分の腰も高々と突き上げた。
「ん……ッ……ッ……!」
誘われるがままに肉奥へ注ぎ込む。
自身の手では解放しきれなかった欲望を思いきり叩きつけた。
「あ……ッ……まだ……」
「んっ……いっぱい、射精 て……」
最後の一滴まで我が身に呑み込ませると麻貴はおもむろに腰を上げた。
生じた二人の隙間に白濁した糸が垂れ下がる。
こぷり、間もなくして空洞になった後孔に泡立つ精液が滲んだ。
「あ……すごいな、溢れてくる、琉真の……」
膝立ちになった麻貴は内腿に手を伸ばし、滴る雫を掬い取り、指の腹同士で戯れに捏ねた。
「本当、濃いな……とろとろ……」
次に、ベッドに身を沈めて荒い呼吸を繰り返していた琉真の、絶頂の余韻に打ち震えているペニスをやんわり握った。
「あっ」
「まだガチガチだな……かわい」
「……可愛いって言うの、やめて」
「なんで? 恥ずかしいか?」
「……こども扱いされてるみたいで、やだ」
「こども? このコが?」
スケべスイッチが見事にONになった麻貴は温む亀頭を掌で擦り立てる。
達したばかりでより深く刻みつけられる刺激に琉真は堪らず喉奥で唸った。
「……かわい……」
涙目になって睨めば「ごめんごめん」と麻貴は軽い口調で詫びた。
「制服、汚れちゃうな」
そう言って、カーディガンのボタンを外し、制服のシャツも左右に大胆にはだけさせた。
肌艶のいい褐色肌が目の前に現れる。
真っ先に視線を捕らえたのは色味が浮いた胸の途端で。
物欲しげに喉を鳴らした麻貴は頭を低くし、年下恋人の乳首にそっと口づけた。
「ッ……麻貴さん? 何してるの……?」
「琉真の乳首、味見してる……ん……うまい」
「ちょッ……引っ張んないで……」
「……」
「あっ……麻貴さんっっ……」
胸の突起を優しく啄みながら未だ硬く火照る年下ペニスを擦り立てた。
鈴口に次から次に零れ出す白濁泡。
頂きから裏筋へ、ねっとり伝い落ちていく。
「……お前、まだまだイケるよな……?」
問われた琉真は目を見張らせた。
自分に覆い被さる麻貴の、すっかり屹立した昂ぶりと擦れ合って、絶妙な摩擦感に背筋をゾクゾクさせた。
「どう……? 俺のと擦れて、気持ちい……?」
頷いた琉真を見、居ても立ってもいられなくなった麻貴は汗ばむ頬にちゅっとキスして、利き手も添えた。
二人のペニスを纏め上げ、腰も振って、病みつきになりそうな摩擦を強める。
彼自身のスペルマやローションの滑りを借りて、しばし不埒な擦り合いに耽って、そして。
「あ……!」
麻貴も達した。
しっとりした褐色肌に、自己処理する暇もなくたっぷり溜め込まれていた精液をここぞとばかりに解き放った。
「ッ……はぁ……ッ……はぁ……」
首筋に顔を埋め、掠れた呼吸を反芻する麻貴に鼓膜までゾクゾクさせて、琉真は我慢できずに年上彼氏にキスした。
仄かに漂う香水で鼻孔を満たし、薄目がちの狭くした視界に震える睫毛を写し込んで、求めていた温もりに我を忘れてのめり込んだ……。
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