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どんな人?

入学式から1ヶ月。 俺は未だに紙ひこうきの製作者を見つけられずにいた。 そもそも手がかりが紙ひこうき1つとか無謀すぎるのだ。男か女か同学年なのかすら分からない。 元からただの好奇心で探し始めていた俺は、もう殆ど見つけるのを諦めていた。 あぁ~…ネム。 今は例の中庭でお昼を食べていた。一人で。 …別に友達がいないわけじゃないからな?たまに一人で来てるだけであって普段は教室で数人で食べてる。 ぼーっと空を眺める。 春の白っぽい空にこれまた白っぽいピンクの花弁が散っていた。こんなにせかせか散っていたら、もうそろそろ桜の花も見れなくなりそうだ。 …そのときだった。 ヒュンッ。目の前を白い物体が通りすぎていった。 「!!」 もしかしてッ… それが飛んでいった方へ行ってみる。周辺を探すと、やはりそれがあった。 紙ひこうき…。 急いで回りを探してみたが当たり前だが今は昼休みだ。生徒がちらほらと歩いていて誰が投げたのかはわからなかった。 …自分でも胸が高鳴っているのがわかる。 落ち着け…まだ期待するのは早い。もしかしたら全く別人が作った物かもしれない。 それを手に取り観察してみる。 …この前と同じ几帳面な程の丁寧な折り方。同じ大きさ。 白い紙ひこうき。 ドキドキと煩い心臓を抑えそっと太陽に透かしてみた。 同じように手書きの文字が透けて見えた。 「ッ…!」 ゆっくりと開き中を確認する。 心なし手が震えている気がした。 こんな些細なことでと思わなくもないがそれくらい興奮していた。 『うちの顧問 服にタグついてる。』 いやそれは言ってあげた方がいいんじゃ…… …またしてもどうでも良いことが書かれている。やはり同じ人が作った物の様だ。 …まさかまた来るとは思っていなかった。 消えかけていた好奇心が再び大きくなる。 一体どんな人なのだろうか。 会ってみたい。会って話をしてみたい。 何で紙ひこうき?何でこんなこと書いてるんだ? 俺は手の中の紙ひこうきだったものを見ながら、俺の中に芽生えた興味がより強くなるのを感じた。

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