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第7話
結局、薬が切れるまでの1時間の間、僕たち二人は獣のようにヤリまくってしまった。
どろどろになったベッドの上でぐったりとしている僕の頭をなでている吉泉さんは、妙に機嫌がよさそうだ。
「吉泉さん……ひどいです……」
「ごめんな。
けど、気持ちよかっただろう?」
「う……それはそうですけど」
確かに吉泉さんの言う通り、彼に抱かれるのがめちゃくちゃ気持ちがよかったのは確かだ。
いくら媚薬を使われていたとはいえ、それだけでは片付けられないくらいに僕が感じまくって乱れまくったのは、やっぱり吉泉さんがうまかったせいだと思う。
「平井……、お前、生徒会長やってくれるだろう?」
「そ、それは……」
正直、僕も男なので校内で人目を気にせずにエロいことをしまくれるという会長の特権は、ちょっと美味しいと思わないでもない。
そしてその相手が吉泉さんなら、最高に気持ちよくなれるというのは、さっき実感しまくっている。
「勉強の方は、約束通りに毎日つきっきりで見てやる。
なんだったら、本当にお前の奴隷になってもいい。
だから、生徒会長になって、俺とこの部屋で毎日ヤリまくってくれないか」
真顔で恐ろしいことを言う吉泉さんに、慌てて僕はストップをかける。
「ま、毎日っていうのはちょっと……」
「じゃあ何日おきならいいんだ」
「何日おきっていうか、ええっと、僕がやりたくなった時だけって約束してもらえるなら……」
「わかった、とりあえずはそれでいい」
とりあえずという吉泉さんの言葉に若干の不安を覚えつつ、僕は吉泉さんにさらなる条件を追加する。
「あ、あのそれと、今日みたいに薬を使うのはやめて欲しいです」
「ああ、そうだな。
最初だからと思ってあんなものを使ってしまったが、本当なら俺も薬なしで乱れるお前が見たい」
「み、乱れませんけどね……薬使わなかったら」
僕がそう言うと、吉泉さんはにやりと笑った。
その笑顔はまるで、薬がなくても僕を乱れさせる自信があるとでも言わんばかりだ。
「よし、それじゃあ決まりだな。
承諾書を持って来るからサインしてくれ」
そう言うと吉泉さんは、スキップでもしそうな足取りで仮眠室を出て行った。
「うーん……」
結局、欲望に負けて生徒会長になるのを承諾してしまったが、本当にこれでよかったのだろうか?
いくら吉泉さんが支えてくれるとはいえ、本当に自分みたいな者が生徒会長をやってもいいのだろうか。
それにこのまま流されるみたいにして付き合いだした相手が、あの吉泉さんだというのも大いに不安だ。
「っていうか、付き合うって……」
吉泉さんの言う通りなら、吉泉さんが僕を会長に指名したってことは僕に告白したということで、僕が会長になるのを承諾したということは吉泉さんの告白をOKしたということになる。
吉泉さんがヤリまくるとか言うからエロいことばかり考えてしまっていたけど、実際のところは体だけの関係じゃなくて恋人同士になるのだと思うと無性に気恥ずかしくなってくる。
「っていうか男同士なのに付き合うって……」
その男の人に抱かれてさっきまでよがりまくっていた僕が今更こんなことを言うのも何だが、本当にこれでいいのだろうか?
「お待たせ」
その時、吉泉さんが一枚の紙をひらひらさせながら仮眠室に入ってきた。
その満面の笑みを見た途端、僕はさっきまで悩んでいたことなんかどうでもよくなってしまった。
結局のところ、僕の方も一目惚れだったのかもしれない。
いくら気持ちがよかったとはいえ、あんな無茶苦茶なことをされたのに怒る気になれないのは、それだけ僕が吉泉さんのことが好きだということなのだろう。
「はい、ここな」
吉泉さんが渡してくれた紙とペンを受け取って、僕は吉泉さんが指し示すところに自分の名前を書いた。
「よし、これで平井は次の生徒会長だ。
これから1年間、一緒にがんばろうな」
「はい!」
僕が元気よく答えると、吉泉さんは嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔を見ていると何もかも大丈夫なように思えて、気がつくと僕も吉泉さんと同じように笑顔になっていた。
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