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「はっ、ぁっ、ぁっ……んっ……あンっ……ぁっ」
まひるのナカに戻ってきた浅海。
一端離れたせいなのか、一段と熱く硬く思える彼に頭が始終クラクラした。
「あ……ん……っ……あさ、み、さ……っ」
奥を突かれながら、限界まではだけた胸元に顔を埋められ、痛いくらい張り詰めていた乳首を啄まれた。
交互に、隈なく、びっしょりになるまで。
「はぁッ……」
掠れて色めく吐息が瑞々しい肌に降り注ぐ。
制服のシャツに隠れて見えない首筋下にも。
欲深な唇が吸いついて所有の痕跡を残した。
「もう……いくかも……」
鼓膜にダイレクトに注ぎ込まれた囁きに、まひるは、思わず入り口をキュッと窄めた。
「ッ……まひる君……」
「ごめ、なさ……っ……浅海さん、オレも……また……」
「そんなにいっぱい感じてくれてるんだ……嬉しい……」
浅海の唾液と自身の欠片に塗れた熱源をか弱げにピクピクさせるまひるに、浅海は、笑みまじりに問いかける。
「一緒にいく……?」
まひるはコクコク頷いて浅海にしがみついた。
しがみついた次の瞬間、これまでにない速度で突かれた。
激しめの律動に迸りそうになる嬌声を堪えるため、目の前の首筋に縋りつき、まひるも浅海に痕をつけた。
「……まひる君……」
自分の何もかもが溶けてしまいそうな声色で名前を呼ばれ、まひるは、また無性に切なくなった。
後孔奥でものものしげに痙攣し、薄膜越しに感じ取った浅海の絶頂に、主に下腹部をゾクゾクさせた。
頻りに腰を波打たせる浅海の両脇に両足を絡ませ、背中に爪を立て、かつてない恍惚のひと時を共有した。
こんなにきもちいいんだ……。
好きな人と繋がるって……。
「あさみ、さ……浅海さん……」
余韻に浸っていた浅海は、こどもがえりしたみたいにグスングスンしている恋人に頬を緩め、抱きしめた。
「浅海さん……」
「まひる君。好きだよ」
「っ……オレも……好き……」
互いの温もりに蕩けそうになりながら。
初めての温泉旅行の夜は更けていく……。
「メリークリスマス」
半休をとった平日の昼過ぎ、街中の待ち合わせ場所に職場から早歩きで直行した浅海は目を丸くした。
私服姿で待っていたまひるに開口一番に言われ、ちょっと気後れしつつも「メリークリスマス……だね」と歯切れの悪い返事をした。
「初めて言ったかも、俺」
「え、そうなんですか? 友達や家族と言い合ったりしませんか?」
「しないなぁ」
そのままクリスマスの飾りつけで華やぐ街を見物がてら突っ切って浅海のマンションへ向かった。
「お泊まりでもよかったのに」
交差点の信号を待つ間、あったかそうなチェック柄のマフラーに吸い込まれそうな小声でまひるは呟いた。
ビジネスコートに身を包んだ浅海はツイードの手袋をした手で眼鏡をかけ直す。
「今日、終業式でした。明日から冬休みです」
「うん。そうだったね」
「浅海さんは明日仕事だから……」
「うーん。この間一泊旅行に行ったばっかりだし」
「……」
「その代わりにお昼ごはんと美味しいクリスマスケーキ、ご馳走するから」
「もしかして手作りですか?」
「ケーキはホテルに予約注文してたやつ。ごはんは俺の手作り。もう仕込みは済ませてるから」
「オレっ、浅海さんの手料理大好きですっ」
うわぁ……。
ご機嫌斜めになるかと思ったけれど、まさかの俺の手料理で挽回できたみたい……。
「前に作ってくれた和風パスタ、他にもいろいろ、みんなおいしかった」
まひる君、拗ねたり、呆れたり、満面の笑顔だったり。
色んな表情を見せてくれるようになった。
プレゼントはもちろん用意してある。
あと、クリスマスツリーを初めて買って飾ってみた。
喜んでもらえたらいいなぁ。
「オレにも教えてください、いつか浅海さんにご馳走したいです」
高三男子にはまだちょっと早いメンズセレクトショップの紙袋を片手に提げた、冷たい風のおかげでほっぺたに天然チークが出来上っているまひるの言葉を聞いて、浅海は。
「え」
まるで無防備だった掌に指を絡めて手を繋いだ。
「入学旅行、どこに行こうか」
周囲には通行人がたくさんいた。
信号を待つ歩行者も前後左右にいた。
そんな中、堂々と手をとられて、まひるはまじまじと浅海を見上げた。
「高校の卒業旅行は友達と行くかもしれないから。大学の入学旅行。今度はまひる君が行きたいところにしよう?」
まひるは……思いっきりの笑顔で頷いた。
暖かい手袋越しに浅海の手をぎゅっと握り返した。
「ありがとう、浅海さん」
『ほんとに、本当にありがとうございました……』
出会ったとき、心細そうに震えていた高校生。
今、目の前で嬉しそうに笑っている恋人。
思い出とリアルタイムが緩やかに交差して浅海は告げた。
「お礼を言いたいのはこっちの方だよ。俺と出会ってくれてありがとう、まひる君」
赤信号が青に変わる。
手を繋いだ浅海とまひるは共に前へ、二人一緒のこれからへと踏み出した。
end
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