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ひとつになりたい。
そんなことを望む日が来るなんて、あの頃のオレなら想像もつかなかった。
「まひる君……寒くない……?」
真っ白なふかふかベッドが二台並んだ板間の洋室。
その一つに仰向けになったまひる。
体重をかけないよう覆い被さった浅海。
「寒く、ない、です……」
和テイストのベッドサイドランプにぼんやり照らし出された室内。
耳を澄ませれば川のせせらぎが聞こえてきた。
二人の上擦る息遣いも。
「痛くない……?」
まひるの入り口を訪れた浅海の昂ぶり。
人工の薄膜を纏い、内壁を押し拡げ、後孔内に途中まで沈められていた。
やっぱり指とは違う、もっと大きくて、もっと熱い、強く脈打つペニス。
お腹の底から全身へ伝わるような存在感に眉根を寄せ、きつく目を閉じていたまひるは緩々と瞼を持ち上げた。
「大丈夫……?」
その身に浴衣を引っ掛けた浅海は同じく浴衣を乱したまひるを覗き込んでいた。
「……まひる君……」
ずれていた眼鏡を微かに震える指でかけ直され、浅海は、ちょっと目を見張らせた。
「……浅海さんの方が……苦しそう」
熱烈な締めつけに出迎えられて滾るに滾り、先走りそうになる下半身を懸命に抑え、年下の恋人の体を傷つけないようにしていた。
理性なる自制心と本能の板挟みになって、いつになく険しい顔をしていた年上の恋人。
まひるは安心させるように笑いかけた。
「浅海さんも、大丈夫……?」
高三男子に初めて頭を撫でられて。
浅海は密やかに深呼吸した。
負担が大きい受け身でありながら自分を気遣う青少年に胸が爆ぜそうになった。
「俺は大丈夫だから……心配しないで?」
「うん……オレも……」
「続けても……平気そう……?」
まひるはコクリと頷いた。
……ほんとはちょっと痛かった……。
「はぁ……ッ」
耳朶を掠めた熱っぽい吐息。
まひるは切なくて堪らなくなった。
華奢な体にぴたりと覆い被さって、ゆっくり、ゆっくり、互いを馴染ませようと動く浅海。
指で解された場所にペニスが擦り当てられる。
窮屈な後孔内を押し拡げ、遠慮がちな速度で、急がず焦らず行き来した。
「あ……ン……っ」
律動は徐々に奥へと及んだ。
内壁を掻き分け、さらに満遍なく発情した昂ぶりを粘膜狭間に割り込ませ、浅海はスローテンポでまひるを突いた。
「んんっ……ぁ、ぁ、ぁ……っ」
今、自分のナカに浅海がいる。
そう思うと、痛みよりも喜びが勝って、まひるは今までにない安堵感を抱いていた。
「……全部挿入 ったよ……」
「っ……ほんと……?」
根元まで沈め切って、一端動くのを止め、浅海はまひるを覗き込んだ。
レンズ越しに自分を気遣う真摯な眼差し。
まひるは、ぺちゃんこな胸を大きく波打たせた。
「きもちいい……」
ふかふかの寝具に背中を預け、真上に迫る浅海に心身ともに委ね、黒目がちの双眸を素直に濡らした。
「浅海さんと繋がってるところ、ぜんぶ熱くて……ほっとする……」
滑らかな肌身を紅潮させてそんなことを告げたまひるに、浅海は、危うく感極まりそうになる。
「っ……? 今、浅海さんの……ビクビクして……?」
お腹の底でさらなる発熱を来たした恋人にまひるは純粋にびっくりした。
ぐっと下腹に力をこめ、長く息を吐き出し、何とか暴発を食い止めた浅海はうっすら汗ばむ頬にキスをした。
「俺もすごく気持ちいい」
「ほんと……? 浅海さんもオレといっしょ……?」
「だって。わかるよね……? 俺がどれだけ興奮してるか……」
浅海は上体を起こした。
不安定に揺らめいた両膝を掴み、左右に割って、大きめの枕に頭を乗っけて呼吸を乱しているまひるを見下ろした。
「俺ともっと気持ちよくなってくれる……?」
再開された律動。
育ちきったペニスで規則的に突かれた。
「ふぅ、ぅ、ン……」
鼻孔からため息を洩らし、まひるは胸を反らした。
体中がジンジンしてくる。
爪の先から頭の天辺まで不埒な熱が浸透する。
紛れもない快感に全身をじわじわと蝕まれていった。
「んっ、んっ、ぅっ……あんっ……っ……ぁ、ぁ、んっ」
……どうしよう、声、止められない。
……浅海さんが動く度に勝手に出てくる。
「ぁっ、ゃぁっ、んっ、ぁっ、はぁっ……っ、っ、っ」
まひるは身を捩じらせ、枕に片頬を擦りつけ、ふと視界に飛び込んできた我が身に呆然となった。
先端をしとどに濡らしてあからさまに反り返った熱源。
あんまりにも快感に正直過ぎる自分自身に頭の芯が沸騰しそうになった。
「自分の、見てるの……?」
ずっとまひるを見つめていた浅海はすぐに気がついた。
「こんな風になるのは初めてだね……」
「っ……オレ……変なんじゃ……」
「え……? どうして……?」
「初めてで……こんな……感じちゃうなんて……変じゃない……?」
まひると同様に汗をかいていた浅海はにこやかに首を左右に振った。
腹底から湧き上がってきた欲望を制御できずにありのままの想いを口にした。
「……そんなこと言われたら愛おしすぎて食べちゃいたくなる……」
え?
食べちゃいたい……?
「ぁっ……?」
浅海との繋がりがいきなり解ける。
突然の中断にまひるは驚いた。
浅海は。
ベッドの下方に蹲ると、そのまま一息に、まひるの熱源をパクリと。
「あっっっ」
まさかこのタイミングで予想外のご奉仕。
ぬるぬるした口内に閉じ込められて甲斐甲斐しい舌に熱心に甘やかされた。
「や、あ、ン……っっっ」
同時に、つい先程まで熱く硬い昂ぶりが独占していた後孔に指が二本、捻じ込まれた。
コリコリとシコリのあるお腹側を指腹でじっくり押されて念入りに刺激される。
ジンジンというよりムズムズが一気に倍増しになってまひるは仰け反った。
い……いっちゃう……。
自分で予感した通り、成す術もなく達した。
浅海の唇に捕らわれたまましどけなく吐精した。
「あ、あ、ン、ん……っ、っ……は……っ……ぁ……は……」
浅海はまひるを一滴残さず飲み干した。
名残惜しげに先端を舐め、飽き足りず、根元の膨らみにまで舌を這わせた。
そんなところ、今までされたこと、ない……。
恥ずかしいけど……。
ずっとムズムズしてて、きもちよくて、ほんとに変になっちゃいそうだ……。
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