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「っ……っ……うそ……注意してたのに、ぃ……」
おまぬけな年上の恋人が愛らしくて堪らず、やたら興奮して、一気に上り詰めた。
「葉一くん、かわいい……」
「ッ……あ、あ、あ、伊月、く、激ひ、ぃ……ッ」
「は……ッ……ッ……ッ」
勢い任せに加速した律動が不意にぴたりと止まった。
葉一の両足の狭間に落とし切った伊月の腰がビク、ビク、意味深な痙攣を刻む。
「はぁっ……は……っ……はぁ……っ」
肌蹴たワイシャツの狭間に覗く胸を大きく上下させ、葉一がハァハァしていたら、伊月は伏せていた顔をゆっくりと上げた。
「葉一くん、あんまりにもかわいいから……いっちゃった」
甘やかな笑みを浮かべた端整フェイスに葉一は……ゾクリ。
「や、やめて……伊月くん……それ、心臓に悪い」
「あ……葉一くんのなか、キュッてなった……」
「な、なってない」
「おれのこと、ほしがってるみたい……」
「ほ、ほしがってない……あれっ……伊月くん……っ?」
中断されたはずの律動がおもむろに再開されて葉一は目を剥いた。
「い、一端抜こうっ? 続けるなら……ほら、替えないと……」
しんなりした前髪を滴らせて伊月は葉一を覗き込んだ。
周章していた唇にちゅっとキスする。
微熱が溜まっていた口内で舌先を好き勝手に遊ばせた。
年上の恋人のいうことを聞かずに、抜くどころか、腰を大きく動かす。
達したばかりで過敏になっている熱源を仮膣内でみるみる回復させていく。
「こ、こらぁ……たまにはおれの言うこと聞いてよぉ……ワガママが過ぎるよ、伊月くん……っ」
「ン……葉一くんがえっちでかわいいのが、イケナイと思う、おれ」
ぎしり
伊月は半身を起こしてベッドに仰向けになった葉一を見つめ直した。
先走りに濡れ、また絶頂を迎えずにピクピクしている彼の熱源に艶めく唇をほんのり歪めてみせた。
「次はいっしょにいこうね……?」
葉一は……観念した。
やはりソレまっしぐらな十代高校生に折れて、恥ずかしいながらも、自身の手を絶頂前の熱源に添えた。
「あ……あんまり見ないで……ください」
年下彼氏に突かれながら我が身をぎこちなくしごく。
同時絶頂を強請られて、色っぽいにも程がある伊月の言う通りにする。
「むり……見ちゃう……かわい……好き……」
「っ……もぉ、絶対……今日はコレで終わりだからね、伊月くん……っ」
「……むり……」
「もぉっ……も~~~~……!」
「い、伊月くん、ほんと今日は勘弁して、お願い」
「やだ」
「も~~~! 今から君のご両親に会うんだよ!?」
「雨天延期」
「雨降ってないし! 降ってても決行可! ほら、遅れるから、早く行こう!」
外で待ち合わせていたはずが、いきなり自宅アパートまでやってきた伊月に葉一はぎょっとしたものの、さすがに本日は断固として毅然と拒否することに成功した。
花粉症のためマスクをしていた伊月は葉一のスーツの裾をきゅっと掴んだ。
現役男子高校生時代の彼を恋人にし、その両親に挨拶するという初めてのシチュエーションにすでに心臓をバクバクさせていた社会人は何度も瞬きした。
伊月くんも緊張してる……?
そうだよな、先週まで高校生だったんだし、年上のおれがしっかりしなきゃ……。
「葉一くん……」
サイボーグじみた端整フェイスのイケメンくんはいつになく重たげな双眸を見張らせた。
マスク越しに葉一にキスされて、優しく笑いかけられて、胸底をじんわり火照らせた。
「だ、大丈夫、多分、あ、ううん、きっと大丈夫だから、っ、え?」
イイコイイコするように白い手で頭を撫でられて葉一はキョトンした。
「おれがいるから大丈夫だよ、葉一くん」
「あ……うん、ハイ」
「それから。スーツのここ。糸屑がついてる」
「えっ、あ、ほんとだ……」
「あと。シャツのここ。カレースープがついてる」
「ええっ? 洗って直してたのにっ!?」
「うそ」
「……も~~~~、伊月くん……」
来月から大学生になる伊月に葉一は頬をぶうっと膨らませた。
「姉さんもおれ達に協力してくれるから。そんなに緊張しないで?」
ぶっちゃけ、マスクしてる伊月くんって、いつにもましてイケメンというか、きれいというか、目が離せないというか。
「挨拶終わったら、二階のおれの部屋でする?」
「シないよ!? 全力でシないよ!!」
愛も変わらず伊月に心臓をぱくぱく甘噛みされ続けている葉一なのだった。
end
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