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同僚の本当の秘密~2/3~

雛木は裸体に貞操帯だけを身に着け、工藤の足元で四つん這いになっていた。 いや、正確には三つん這いとでも言うべきか。わずかに緩めて貰った貞操帯のベルトの隙間から指を捻じ込み、脂汗を浮かべながら自分の後孔を必死で解しているのだ。 苦しいのは三本の指を飲み込んでいるせいなどでは当然なく、その刺激でどうしても膨らんでしまうペニスが貞操帯に圧迫されているせいだった。 できるだけ何も感じないよう、事務的に指を動かすように努めてはいるが、工藤に見られていると思うだけで、どうしても雛木の性感は高まってしまう。 しかも、その工藤は、雛木の目の前で突起だらけの巨大なアナルプラグにローションを塗り込んでいた。 粘度の高いローションは垂れることなくプラグの表面に留まり、てらてらと光っている。自分を責めるために突起の一つ一つにまで丁寧に潤滑剤を塗りこんでくれている主人を、雛木は床に這ったまま切なげに見上げた。 今ペニスは中途半端な大きさで筒の中をみっちりと満たしているが、あんな物を入れて貰ったら勃起せずにいられるはずがない。巨大で凶悪な物を嵌められるアヌスも、勃起を許されないペニスも、きっと同じくらい辛いに違いなかった。 「これでアヌスを塞いでおけば、節操のないあなたでも安心ですね。静音性に優れていますから、あなたさえ普通の顔をしていれば、こんな巨大な玩具をお尻に入れながら話しているなんて馬越君も気付かないでしょう」 なんと、凶悪な造形の上に振動までするらしい。そんなものを嵌められ、ペニスを封じられながら馬越とこれから会うなんて、考えただけで頭がおかしくなりそうだった。 普段の社内での馬越の顔を思い浮かべ、その現実感のなさに雛木はローションでぬらぬらと濡れ光るプラグを呆けたように見つめる。 しかし、全ては雛木が望んだ結果の責め苦だった。 雛木はカーペットにつけた額で上体を支え、両手で自ら尻肉を割り開いて、ずぶずぶと埋め込まれる凶悪な造形を受け入れた。あまりの太さと突起の大きさに、力を抜きすぎると入口が内側に引き込まれて痛みを覚えたため、軽くいきんで押し出す動きで内側からもアヌスを開く。 体の中でおそらく一番無防備な場所を未知の凶器で抉られることに対して恐怖心は確かにあったが、意識的に開いた敏感な肉筒を抉られる物理的な刺激は、アナルセックスに慣れた人間にとっては快感でしかなかった。 雛木は我慢できずに「あーっ」と上ずった声を嬉しげに上げたが、即座に「あうっ……ううっ……」とペニスを締め付けられる痛みに呻きを漏らした。 感じてしまえば自分が苦しむだけだ。突起が入口を擦る度に皮膚が引きつり、締め上げてしまいそうになるのを、必死で堪えて尻肉を引っ張る両手に力を込める。 媚肉はみっしりと突起に絡みつくが、それを振り払うかのように抉り進まれて、苦しさと歓喜に背筋を震わせた。 指が届かず狭いままになってしまった奥の肉襞まで、プラグは容赦なく突き入る。めりめりと音がしそうなほど奥深くまで押し開かれて、苦しさと一種の充足感に「あぁ……こんな……」と意味をなさない感嘆を漏らした。 かなりの時間をかけて太い部分のほぼ全てが肉筒に収まり、もうこれ以上は入らないというところでようやく侵入が止まった。はぁはぁと荒い息をつきながら、太いプラグに押し開かれたままの括約筋を緩め、尻肉から手を放して四つん這いに戻る。その瞬間、工藤が体外に頼りなく露出していたプラグの根元部分を掌底でどんっと突き込んだ。 「うああああぁっ」 衝撃に悲鳴を上げ、前のめりに倒れこむ。工藤に突き込まれたせいで、行き止まりだと思われた奥の壁がたわみ、侵入が深くなる。くぷりと音を立てて入口の輪が閉じ、プラグの(くび)れたストッパー部分をしっかりと()んだのが、雛木にも感覚でわかった。 腹の中深くを抉られた衝撃に、思わず腹を両手で守るように押さえて転がったまま体を丸める。息がつけず、ハッハッと暑がる犬のような浅い呼吸を繰り返した。 だが工藤は許さず、 「立ちなさい。今すぐに」 と命じた。 ずっしりと重く感じる腹を抱え、雛木はよろよろと立ちあがる。そして工藤に促されるままローテーブルに両手をついて、腰を突き出した。 体外に表出したプラグの根本は丸く平らで、ただのシリコンの円がアヌスを覆い隠しているかのように見える。工藤は後孔を責めるために緩めていた貞操帯の革ベルトを、改めてプラグの根元の真ん中を通るように調節し、思い切り締め上げた。 「ぐうぅ……」 雛木の漏らす潰れた呻きに頓着せず、ギリギリと締め上げ、深く食い込ませる。雛木のペニスは蟻の門渡りに埋没し、アナルプラグは少しも押し出される余地のない深さで固定された。 前も後ろも刺激的な道具で封じられ、もう指一本入る余地はない。腹を深く抉られた衝撃にも萎えることのなかったペニスの痛みは、時間と共にどんどん増していた。 「そろそろ馬越君が新宿に着く頃ですね。さぁ行きましょう」 促され、よろめきながらシャツに袖を通す。シャワーで濡らされた下着は当然まだ乾いていないので、シャツもスラックスも素肌に直接身に着けるしかなかった。 「では、レイの店に向かいましょう」 そう言って雛木の前を歩く工藤はホテルの廊下に出た瞬間、ポケットに入れていたプラグのリモコンをオンにした。 馬越と落ち合うまでの時間は、雛木にとっては一晩経ったかと思える程の長い長い甘い苦しみの連続だった。 充電式らしい無線のプラグは、確かに振動音こそ驚くほど静かだったが、大きく膨らんだ部分の刺激のパターンは多彩で、根元から先端まで複雑に震え、突起が内壁を抉る。突起の先端がギザギザと波型になっているため、あらゆる場所に食い込み、狂おしく媚肉を揺さぶっていた。その上、いわゆる上級者向けの玩具なのだろう、括約筋が締め付けるストッパーとなる括れもかなり太く、その部分までも激しく振動した。 プラグを嵌め込まれた雛木の肉筒は大きく押し広げられ無数の突起で抉られる上、特に敏感な入り口部分まで常に刺激され、否応なく収縮を繰り返して玩具を味わおうとしてしまう。 しかし、振動のままに腰を振って快感を追えば、どうしようもなく膨らむペニスがぎっちりと締め付けられる。 雛木はレイも見ているにも関わらず、アヌスへの快感とペニスへ与えられる絶え間ない痛みに「うぅ……あうぅ……」と悩ましい呻きを上げるしかなかった。 せっかく工藤が注文してくれたウィスキーにも口をつける余裕がない。 とろんとした目で、悦びと苦痛に喘ぎながらスツール上でもじもじと腰をくねらせ続ける雛木は、工藤がこの数日で知り合いの玩具職人を説き伏せ、今夜のために特殊な形状の貞操帯を急いで作らせたことなど知るよしもなかった。 サディストである工藤の愛情は、それを向けられる者には真っ直ぐには伝わりづらい。 欲望のままに他人の体を痛めつけることにも正直かなり興奮するが、大切に思えば思うほど、相手の全てを所有し、自分専用に作り替えたい欲求は強くなる。 ありとあらゆるいやらしい責めを施し、思うままに痛めつけたい。そして愛する奴隷には、そんな身勝手な欲望の全てを許し、自分の足元に跪きながら寄り添っていてほしい。 工藤はただ、プレイの枠を超えないように、そのドロドロとした感情を抑え込んでいるに過ぎないのだ。 確かめてはいないがおそらく真っ当な職に就いている、自分に会うまでは多少被虐嗜好があるだけだった雛木を、工藤の好み通りに仕立て上げた本物の奴隷という茨の道に落とすのは憚られる。 工藤が本来好む奴隷は、実は今の雛木よりもっと極端な存在だった。過去に何人も、陽の光の下を歩けないような、戻れないところまで追い込んでいる。だが、一度全ての奴隷を手放して、自分の意思でこの世界と手を切った。 だから、成り行きで手に入れてしまった雛木には、以前自分がしていたような厳しい調教はしたくない。自分の奴隷になりたいと健気に訴える雛木を、愛玩用の奴隷として可愛がっていたい。自分のためにも、雛木のためにも、ある程度のところで留めておくべきなのだ。 そう思って大切に大切に育ててきたのに、ここへ来て他の男にその熟れつつある体を晒し、欲情されるなど以ての外だった。他の男に与えるくらいなら、もう二度と引き返せないくらいその体をとことんまで奴隷の色に染め上げてやりたい。 馬越との話を聞いてから、工藤の中には今まで以上の葛藤が渦巻いていた。雛木を完全なる自分の奴隷に堕としてしまいたいという想いと、あくまでもお互いにプレイと割り切れる範囲で楽しむめる今の距離感を壊したくないという想い。冷静な支配者の仮面の下には、常に激情が渦巻いている。 工藤の雛木に対する所有欲と独占欲は、雛木が考えているよりはるかに強いものだった。 「そろそろ馬越くんは新宿に着いた頃でしょうか。せっかくですから、より女性らしく見えるように時間ぎりぎりまで乳首を刺激して大きくしておきましょうね」 そう言って、馬越がバーに現れる直前まで、カウンターの端でシャツの上から乳首を自分で弄らされても、雛木は悦びこそすれ工藤の葛藤を感じることはなかった。そんな複雑なことは考えたり感じたりする余裕がなかったという方が正確かもしれない。 たまらず反応してしまうペニスの痛みに涙目になりながら、乳首を少しでも大きくしようと一生懸命ぐりぐりと揉んだ。レイが工藤に流し目を送り、皮肉たっぷりに「本当にお気に入りなんですね」と笑う前で、羞恥と快感にイきそうになりながらも乳首を引っ張り続けていた。 ガッガッと無遠慮な急ぎ足で通路を進んでくる靴音に工藤が頷いたので、ようやく乳首から手を離してジャケットの襟元を整える。 「言うまでもないことですが、彼の前でイったりしないように。心がけではなく、命令です」 入口近くのスツールに離れて座った工藤の低い声を最後に、雛木・工藤・レイの三者は口を噤み、重い木の扉が開かれるのを待った。 隠しカメラ越しに工藤とレイに見られていると思えば思うほど、他の男を誘惑する罪悪感に胸が掻き毟られ、同時にどうしようもなく昂ぶった。 馬越と落ち合った時点で、既に雛木の体は達する寸前まで追い詰められていたから、官能の炎は熾火(おきび)どころではなく、周囲の空気を焦がすほどに渦を巻いていた。乳首はじくじくと疼き、ペニスは膨らんで貞操帯に締め付けられ、突起だらけの玩具の振動にアヌスを抉られ続ける。普段は何とも思わない馬越の男臭い顔や汗混じりの体臭でさえ、油を染み込ませた薪のように官能の炎を燃え立たせた。あまり近づくとプラグの振動音が聞かれてしまうかと思って、大きめのBGMをレイにリクエストしたのは雛木自身だったが、どうかこのトランスミュージックが自分の本気の喘ぎを掻き消してくれと心から願った。 工藤の命令通り、絶対にやり遂げなければならない。自分が撒いた種なのだから、工藤に命じられた方法で必ず刈り取らなければならない。 その一心で自ら扇情的に振る舞うのだが、乳首への物理的な刺激や、工藤に装着された玩具のせいだけではなく、ストレートのはずの馬越が自分の痴態に股間を固くしている姿を見て、より興奮してしまったのも紛れも無い事実だった。 工藤にいやらしく育ててもらった乳首を弄くり回し、それで興奮する別の男を見るのは、確かに新しい快感だった。みるみる固くなりスラックスを突き上げる馬越の股間も、荒い息をつきながら食い入るように自分の痴態を見つめていた視線も、雛木を大いに興奮させた。 それでいて決して自分は勃起を許されず、ペニスとアヌスを玩具でいたぶられ続けていたのだ。乳首への刺激だけで簡単に達することができる雛木にとって、確かにそれは、拷問に近い過ぎた刺激ではあった。 だからといって、命令に背いていい理由にはならない。イきそうになったとき、雛木は本気で狼狽していた。だが、突起まみれの振動するプラグを締め付けながら腰が勝手に動き、射精を伴わない絶頂へと駆け上がるのを止められなかった。 「いやだっ いっちゃうっ いっちゃうっ ごめんなさいっ ごめんなさいっ」 防犯カメラ越しに見ているはずの工藤に、切羽詰った謝罪を叫ぶ。駄目だと思うのに、絶対に駄目だと思うのに、ガクガクと前後する腰は止まらない。ペニスは締め付けられて最早痛みしか感じられないのに、熟れ切った乳首から全身に散る火花は、音を立てて燃え広がる圧倒的な絶頂の炎の中に雛木を巻き込んだ。 「ごめんなさいっ ああっ ああっ いくぅっ」 見かねたレイが扉をノックしなければ、馬越の前でイくなという命令を守れなかったことは明白だ。 自分が犯した罪が、工藤を失望させただろうと思うと、身を切られるような申し訳なさと恐怖が雛木を苛んだ。 バーカウンターのスツールは、やはりもう空になっていた。お会計は済んでいますよ、と言ったレイの困ったような微笑みが、席を立った工藤の怒りようを思わせた。 性器どころか体にさえ触れられたわけでもないのに、命令に背いて他の男の前で勝手にイきそうになるなど、工藤に仕える身としてあってはならないことだった。きっと工藤は不愉快になり、呆れ、馬越相手に気持ち良くなれるならわざわざ自分が調教してやる必要もないと思っただろう。 雛木は自分の体と心を心底不甲斐なく思った。酷く感じやすくなった体は工藤の調教の賜物だと思えばこそ愛しいのであって、工藤を裏切ってしまうなら何の意味もない。快楽の奴隷ではなく、心も体も工藤の奴隷でありたいのだ。 だが今頃工藤は、もっと自分にだけ忠実で淫乱な慎み深い奴隷を探そうと、荷物を纏めてホテルを後にしているかもしれない。 許してもらえるなら何でもしよう。自分に差し出せる物なら何でも差し出そう。 工藤に捨てられるかもしれない不安に押し潰されそうになりながら、絶頂の寸前で逸らされた重い体を引きずるように雛木はバーを後にした。もちろん、秘密の部屋に残された馬越のことなど、髪の毛の先ほども思い出しもしない。 店内には、口をつけられないまますっかり氷が溶け切った雛木のロックグラスを手に、タブレットの画面を見つめるレイだけが残された。リアルタイムで映る、スーツ姿の男が一心不乱に己の性器を扱く映像をつまみに、琥珀色の液体を大胆に呷る。 その唇の端は、至極楽しげに吊り上がっていた。 ≪続≫

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