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同僚の本当の秘密~その後~

《どうなることかと思っていましたが、馬越は今のところむしろ協力的です。一緒に幹事を務めた職場の忘年会では、俺が上司に飲まされそうになる度に、間に割って入ってグラスを空けてくれました。したたか酔った馬越が言った、「お前は俺の女神なんだ……」という台詞は腑に落ちませんが、少なくとも今のところ、脅しをかける必要もないように思われます。》 いつもと変わらずメールを打つ雛木のスウェットパンツの太腿は、瘡蓋(かさぶた)を無理矢理剥がされた皮膚によってわずかに血を滲ませていた。 数日経ってより青黒く変化した内出血に比べ、薄く切れていた皮膚はもうとっくに回復の兆しを見せている。だが、初めて工藤につけてもらった傷が消えてしまうのが惜しくて、雛木が自分で無理に瘡蓋を剥がし続けているのだった。 記憶が曖昧になるほど何度も打たれたのに、雛木の内腿は予想していたほどのダメージを受けていなかった。もちろん、赤紫色に腫れ上がり、所々血を滲ませている様は壮絶だったが、時間が経てば綺麗に治ってしまう程度のものだ。 あの時目隠しをされたのは工藤の表情を見ないためか、許しを請う視線を封じていたぶるためかと思ったのに、視界を封じて痛みに敏感にさせるためだったのかもしれないと思うと悲しくなった。 それは結局、工藤はまた手加減をしたということに他ならない。普通の恋人同士であれば痣になるほど打たれて手加減をされているなどとは思えないだろうし、雛木の肉体的にも限界を感じる責めではあったが、今となってはもっと痛くても耐えられたと思えてしまう。 《職場に一人くらいは味方がいた方が何かと便利でしょう。うまく使ってあげたら、本人も喜ぶと思いますよ》 工藤からのメールは相変わらず蠱惑的で丁寧で、今までと何も変わらないように見えた。毎日返信はくれるし、今度はどんなプレイをしましょうかと楽しげですらある。 だが、今週の金曜の逢瀬の約束は、太腿の痣が消えてからにしましょうと断られてしまった。こんなの何ともない、会いたいと訴えたが、私は綺麗な肌を鞭打ちたいので、と言われれば黙るしかない。 ホテルで朝を迎え、工藤の口からはっきりと「今回のことは水に流します」と赦しを与えられてはいたが、その胸中は量りようがない。 本当に怒っていたのか、本当に赦してくれたのか。 日にちが経つほどに、あの日の記憶は現実味を失い、垣間見たと思えた工藤の本心は遠ざかった。 それどころか、工藤の怒りは演出されたもので、パドルによる懲罰はただのお仕置きプレイの一環だったのではないかとも思えてくる。それくらい、メールから窺える工藤の態度はこれまでと変化がなかった。 だが、雛木はやはり、工藤が本当にしたいことを堪えてプレイしてくれているのだという確信があり、心苦しさから逃れられずにいた。自分が初心者だから、これまでアブノーマルなプレイをしてこなかった経験不足で(やわ)な体だから、工藤がしたいようにできていないと気付けば、この身が歯痒くて仕方がない。けれど、大丈夫だからもっと責めてくれと言っても、工藤は手加減してしまうに決まっている。 雛木は宝物を抱き締めるように、血の滲む自分の太腿を椅子の上で抱きかかえた。ぐっと腕で締め付けると内腿全体がずくりと痛む。 痛みを呼び水に、パドルが肌に振り下ろされるパァンという幻聴が聞こえた気がして、びくりと体を強張らせる。そして、何かを堪えるように、小さくなった体育座りのままぴくっぴくっと体を震わせた。 下着を身に着けずに穿いたグレーのスウェットの股間は、既にじわりと染みを作っている。雛木は先週末以来、鬱血した太腿を圧迫したり手で叩いたりして、その度に勃起するのをやめられないでいた。仕事中でもつい、膝を摺り合わせるように内腿を圧迫して、腰が揺れそうなほど欲情してしまう。 こんな欲まみれの体でも、工藤が口にした『充分仕込んだ奴隷』には程遠いのだと思うと切なくなる。 吊りも鞭打ちも一朝一夕で習得できるようなものではないから、工藤はこれまでにもマゾヒストを相手にしていたのだろうとわかってはいたが、工藤の欲望に応えられる奴隷がいたのだと思うと嫉妬せざるをえない。 もしかしたら今も、他にも奴隷を飼っているのだろうか。初心者に我慢して合わせてくれている分、工藤が望むような激しいプレイは他の奴隷と楽しんでいたりするのだろうか。 ここしばらく、大切にされている、想われていると感じることが多かっただけに、その可能性は雛木の心に影を落とした。 工藤を満足させられるようになりたい。早く『充分仕込んだ奴隷』になりたい。 焦る思いで綴るメールの文面は、どうしても気の急いたものになる。 《どうやったら工藤さんの手加減なしの責めに耐えられるようになりますか?筋肉をつけた方がいいでしょうか?それとも体力作りの方が先でしょうか?お尻はどの程度拡張すればいいですか?》 返信には、工藤の優しい苦笑が見えるようだった。 《確かにちょっとやそっとでは壊れそうもない筋肉達磨を力任せに打ち据えるのも楽しいですが、私は今のすらっとした柔らかいあなたの体が気に入っていますよ。 少し酷くして、焦らせてしまったようですね。私は今でも充分楽しんでいますし、少しずつ奴隷らしく変わっていくあなたをとても愛しく感じています。変化は少しずつの方が長く楽しめるでしょう?何度も言った通り、あなたは私の大切な奴隷ですよ》 愛しい、大切だという言葉に一気に顔面に血が上る。いやいや、そうではなくて、と冷静さを装い何度も読み返すが、嬉しいものは嬉しい。 結局、焦っても仕方がないのだと自分に言い聞かせて嘆息した。工藤がゆっくりとした変化を楽しみたいと本当に思ってくれているなら、それに応えたい。だが、できれば早く、そして完全に『充分仕込んだ奴隷』になりたかった。 『あなたは私の大切な奴隷』という言葉を、何度も噛み締め、声に出して反芻する。工藤は多分、そんなところで嘘はつかない。その気になれば代わりはいくらでもいるだろうし、仕事や人間関係のしがらみがない分簡単にこの関係を解消できる。だから、奴隷扱いしてくれる限りは、まだこの関係を続けてくれる気があるのだと思えた。 だが、雛木は妥協して側に置いてもらいたいわけではなかった。何しろ、被虐嗜好の上に、工藤への愛を自覚してしまったのだ。 自分の全てを捧げ、工藤の全てを受け止められる存在になりたい。工藤が満足できるような、工藤にとって唯一の奴隷になりたい。そう願うのは無理もないことだった。 それは、プレイメイトとしての節度を守る工藤に倣い、自分が思い描く奴隷という枠に意識と体を当て嵌めてきた雛木にとって、より踏み込んだ欲求だった。 セックスの最中に拘束され、首を絞められ、尻を叩かれて感じたからマゾかもしれない。そう掲示板に書き込んだ、工藤に出会う前の自分は最早遠い過去だった。もちろん今でも、縛りも首絞めもスパンキングも堪らなく感じる。だが、それと同時に、恭順を誓った相手の望むような奴隷になりたいという願いは確固たるものとなっていた。 自分が気持ちよくなりたいと同時に、工藤にも満足してほしいのだ。 『充分仕込んだ奴隷』がどの程度のものかはわからないが、自分にだってまだ仕込まれる余地は存分にあると声を大にして言いたい。昔から傷の治りは早い方だし、体も男にしては柔らかい。何より、工藤の命令に応えたい気持ちは誰よりもあると自信と誇りをもって言える。 工藤の本当に望む奴隷の姿、そこへ向かって調教してほしい。 実際、物理的にこの体は変わってきている。乳首も大きく長くなってきたし、アヌスもかなり拡がってきた。間違いなく、奴隷として相応しい体になっていっているはずだ。もう少し頑張れば、性器やアヌスへの刺激がなくても、スパンキングだけでいけるようになる気がする。もっと回数を重ねて貰えれば、麻縄の感触だけで射精できそうな気さえするのだ。 自分の体にはまだまだ伸びしろがあるはずと思える程度には、雛木は自分の体が後戻りできないほどに変えられていくことに前向きで、意欲すら燃やしていた。 ――今は、あなたがどんな奴隷を望んでいて、どんなプレイが一番気持ちがいいか尋ねても、やんわりと拒絶し、優しい答えしかくれないでしょう。でも、俺は絶対に、あなたにとって唯一で最高の奴隷になってみせます。 決意を込めて、雛木はメールを打った。 《先日太腿に頂いた罰は痛かったけれど、嵌めて頂いたプラグのおかげもあって、最終的にふわふわとした気持ちよさがありました。 また、「痛み」と一口で表現できないくらい、複雑な感覚と精神的な感じ方があることも知りました。痛みの中でも、こっちは気持ちがいい痛みだと、意識が勝手に気持ちよさを追っていました。 そして、叩いて頂いた場所が敏感になって、ちょっとした優しい刺激ですら堪らない快感になるのだと改めて感じました。 そんな自分を自覚して、俺はもっと、自分が感じる痛みを細かく知りたいと思いました。今度はどうか、一ヶ所だけでもいいので、工藤さんが俺の体で気に入っている場所をとことん責めてください。俺はその責めを一から十まで受け入れて、自分がどんな風に感じるか知りたいです。そしてできれば、工藤さんがどんな風に俺を責めたいのかを体で知りたいです。》 あなたのためじゃなくて、自分の我侭でもっと酷く責めてほしいんです! そんなメールの文面を見て、工藤は苦笑した。それも嘘ではないだろうが、雛木の本音は最後の一文だろう。控えめに、だが情熱的に、あなたの加虐の欲望を体で感じたいと乞われているのだ。これ以上の口説き文句があるだろうか。 ――今でも充分楽しませて貰っているのに、もっとあなたのしたいように虐めてくれと強請るこの可愛さといったら……! 雛木と出会うまで、奴隷をどんな風にいたぶりたいかさえ思い浮かばない状態になっていた。加虐の欲求は尽きないのに、それをどう奴隷に向ければいいのかがわからなくなっていたのだ。 だが、雛木の素直さや淫らさに触れて、工藤は再び主人として欲望の鞭を振るうことに悦びを見出した。 ――あなたが私を救ってくれたのだと言ったら、一体どんな表情を見せてくれるでしょうか。 雛木が可愛くて、今すぐにでも本格的な奴隷に堕としてやりたいという欲望が突き上げてくる。 自分から今週は会わないと言い出したにも関わらず、雛木を喘がせたい欲求が堪え切れない。 《私はあなたの体全て、足の先から頭の旋毛(つむじ)まで気に入っていますよ。だから、一ヶ所と言わずあなたの全身をいたぶりたい。 そんなに可愛らしいことを言われたら我慢できません。今すぐあなたの鳴き顔が見たくなってしまいました。》 メールを打ちながら、このメールを見た雛木がPCの前でどんな顔をするのかと思うと、たまらなく鞭を手に取りたくなってしまう。NGを破らせるような命令をするのは反則だと思いつつも、込み上げる支配欲に抗えずに狡い文章を打った。 《ちなみに私は、射精せずにイくあなたの顔が特に好きです。》 送信した後、冷静になろうと分厚い背もたれに背中を沈める。こちらからNGを破るように仕向けるのはプレイとして褒められたものではない。 冗談ですよ、と送ろうとした矢先、すぐに《わかりました。少しだけ待っていて下さい》という返信があって驚く。どういうつもりかと訝っていると、数分後には添付ファイル付きのメールが到着した。 『工藤さん…っ!工藤さん…っ!会いたいですっ!もっと虐めて下さ…あぁぁっ!』 スウェットを捲り上げた上半身が写った画面の中で、雛木は声を上げながら両方の乳首をぐりぐりと捻っていた。羞恥と快感に顔は歪み、今にも達しそうに胸を喘がせている。 ベッドヘッドに携帯電話を固定したのだろうか。手ぶれもなく、見下ろすアングルで綺麗に撮れている。 撮影は流出が怖いのでNGで……と言っていた子が、人目に触れさせるわけにはいかないような動画を自分で撮って送ってくるまでになった成長ぶりに、驚きと共に喜びが込み上げて仕方がなかった。 『工藤さん、乳首気持ちいいです…!気持ちいい…っ!乳首、いきます、い…きますぅ……あぁっ…いくっ…いくぅっ!……』 画面の中で雛木が口をぽかりと開け、虚ろにこちらを見つめながら、悩ましい声を上げて絶頂を迎えていた。射精の瞬間的な充足感とは異なり、脱力した後も夢見るように『あぁん……あぁん……』と小声で喘ぐ様子は、言われたとおり射精せずに乳首だけでイく瞬間を撮って送って来たのだろうとわかる。 その従順さは、あまりにも工藤の性感を刺激した。 《素敵な動画をどうもありがとうございます。とても卑猥で可愛らしいです。ご褒美に今すぐあなたのアヌスにディルドを嵌め、乳首を捻り上げながら奥を突いて差しあげたくなりました。》 工藤はPCから目線を逸らさないまま、半勃ちになった自らの性器をスラックス越しにやわやわと揉んだ。 《あなたの痴態を肴にさせていただきますね。》 送られてきた動画を繰り返し見ながら、ゆるゆると性器を刺激する。やはりこんなに素質がある子は、もう少し厳しく調教しても大丈夫では、という甘えが出てきてしまって困る。 今度会った時には望み通り少し厳しい躾をしてやろうかと考えていると、再びメールの着信を知らせる電子音が響いた。 さっきの状態からすぐにまともな文章が打てるとも思わないが……と不思議に思いながら開いてみれば、本文には《さかなうれしいです》という平仮名九文字だけが綴られていた。 その余裕の欠片もない字面に思わず人の悪い笑みを浮かべながら添付ファイルを開くと、左手で乳首を思い切り捻り上げつつ、先程より更に夢中になってよがり声を上げる雛木の姿が映っていた。 『してほしいです……あぁん …奥、突いて欲しいですっ…あっあっ…どうしよう止まらなっ…あっ! あっ! あぁぁっ!』 右手は見えず、代わりに画面に映りこんだスウェットの両膝がリズミカルに揺れている。そうしてやりたいと送ったとおり、アヌスで快感を貪っていることは明白だった。 主人を思いながら自慰に耽る様は可愛くて、踏みにじって鞭打って絶叫しながらイかせたい欲求が渦を巻く。 恥ずかしく抵抗感もあるだろうに、命令ですらない要求に応えようとする雛木の健気さが愛しくて仕方がなかった。 思わず、PCの横に置いていた携帯電話の通話ボタンに指先を触れる。 『はい……あの……工藤さん……?』 息を弾ませながらも、快感よりも戸惑いの方が強い声が応えた。 「素敵過ぎて、リアルタイムで聞きたくなりました。私がもういいと言うまで、射精せずにイく声を聞かせてください」 一瞬息を呑む音と間があって、回線の向こう側からはぁはぁという荒い息遣いと共に、ひどくうっとりとした応えがあった。 『はい……はい……聞いてください……今ディルドをお尻の穴に出し入れしながら、乳首を思い切り捻っています……またいきます……あぁ……またいきます……っ!』 『あああ゛んっ……!』 近隣から苦情が入らないか心配になるほどの、悩ましく大きなイキ声が携帯電話から響いた。 思わず自分の性器をぐっと握り締める。完全に形を変えたペニスは、工藤の痩せ我慢を嘲笑うかのようにスラックスのフォルムを崩していた。 『工……藤さん……?』 荒い息越しに不安そうに名前を呼ばれたので、「聞いていますよ」と事実を告げる。 『はい……ありがとうございます……また…きます……ああん……』 喘ぎ声の間にぐちゃりぐちゃりと粘ついた音が混じる。かなり大きめの物を使って、長いストロークで掻き回しているのだと窺えた。 工藤は通話をスピーカーに切り替え、部屋中に雛木のよがり声と粘着質な音を響かせる。ぐちゃりぐちゃりという音が徐々にぐちゅぐちゅと細切れになり、それに合わせて雛木の声も高く切羽詰っていく。 『ああっ ああっ イっ……イク……あっ、だめっ……イってもいいでしょうか……っ!』 ここへきてようやく許可を取ったほうがいいかと考えたらしい。その迂闊さや気遣いさえも可愛らしくて、つい虐めてやりたくなるが、自ら設定したNGを破って動画を送ってきた健気さで許してやることにした。 「マイクをアヌスから五センチ以内の場所に置くならいいですよ」 あぁ……と感極まったような悩ましいため息を最後に、雛木の声よりも粘着質な水音の方が大きくなる。忙しないぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃという音に、ギッギッというベッドを軋ませる音が混じる。 その向こう側から『やだぁっ 音がっ 音がぁっ』と悲鳴じみた声が聞こえたかと思うと、急に水音が小さくなり、ぬちぬちぬちぬちっと気密性の高い濡れた場所を攪拌しようとする音に変化した。 『イ……ク……奥……いくぅ……』 噛み締めるような小声が遠くから聞こえたかと思うと、ギシギシギシっという激しい軋みに負けないほどのボリュームで『ああああっ』という絶叫が響いた。 奥を集中的に抉りながら腰を激しく振って達した様子がわかる音声に、工藤は思わず唇を舐めた。 『工藤さん……工藤さん……』 再び携帯電話を手に持ったのか、マイクのごく近くから切なげな声が吹き込まれる。 「聞いていますよ。さぁ、もう一度」 手短に告げると、『はうぅ……』という喘ぎ混じりの悩ましい溜息が聞こえた後、再び『あっ あっ』とリズミカルな嬌声が響き始めた。 ――もういきたくないと泣き出したところがやっと、あなたの望む躾のスタート地点ですよ。 工藤はスラックス越しにゆるゆると性器を揉みながら、サイドテーブルに乗せた使い込まれた黒い革の首輪を眺める。 これまで戒めのためにと置いたその首輪が視界に入る度に工藤の欲望は萎えていたが、 『またいきますっ……工藤さん……またいきそうです……許可を下さいぃ……!』 という性的な欲望と従属の欲求にまみれた純粋な声が響く中では、興奮に水を差されることはなかった。 萎える気配のないペニスの先端を指先でぐりぐりと抉りながら、もう二度と飼うまいと思った奴隷に志願した健気なマゾヒストに声をかける。 「次は奥ではなくて入り口を出し入れする音が聞きたいですね」 一呼吸置いた後、 『ひぃっ いやぁっ ごめんなさい!ごめんなさい!』 と切羽詰った声と、ベッドが激しく軋む音が聞こえる。 直後に、押し殺した 『あ゛あ゛っ』 という淫らに濁った、絶頂を思わせる声が聞こえた。 そうかと思うと、間を置かず、 『すぐ、すぐに入り口ぐぽぐぽしますっ…ぁっ…』 と必要以上に卑猥な台詞が室内に響く。 奥で勝手にイった贖罪を果たそうとするかのように、ぐぽぐぽぐぽぐぽと、みっしりした肉筒を大きなものが出入りする音が聞こえてくる。 その淫らさと素直さがあまりにも可愛くて、工藤はようやく黒革の首輪に向けて微笑むことができた。 「ほら、下品な音をさせながら、いきなさい」 粘液の香りが充満しそうな程はしたない音と、雛木の絶叫が響き渡る空間を、工藤は性器を揉みながら薄く微笑み、至極ゆったりと楽しんでいた。

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