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本当に工藤さんはセックスしなくて平気なの? ~4/4~

ガションガションガションガションガションガションガションガションッ 信じられないスピードで、巨大な黒いディルドに背後から犯される。 「ひいいっ ひいっ ひいいっ」 色気のかけらもない悲鳴を上げ続ける雛木は、自らが溢れさせた唾液の海で溺れ死ぬかもしれないと、どこか他人事のように考えていた。 固めのベッドに敷かれたビニールは、雛木の全身から滲み出す汗でびったりと体の前面に張り付いている。秘所を絶え間なく責め続けられ、自分でも何度目かわからないほどの絶頂を強制され、雛木はまるでサウナにでも入ったかのように全身をじっとりと汗で濡らしていた。 それに加え、絶え間なく漏れ続ける唾液は、頭の重さで沈んだマットレスのわずかな窪みに水溜りのように留まることになる。うつ伏せにされて喘ぎ続け、呼吸のために辛うじて首を捻った雛木の右頬は、そんな自らの唾液の中にべっとりと沈んでいた。 「ゆるっ ひ…て…ぇ……」 力なく許しを請うと、それに応えてがぼっと音をさせてディルドが引き抜かれた。だが、その衝撃は赦しには程遠く、「うああああぁぁんっ」と悲鳴を上げて、びくびくびくっと全身が震えてしまう。 不随意に痙攣する肉体は、必要な空気を取り込むための肺の動きすら封じた。感じすぎて息ができない。 だが工藤は、そんな雛木の呼吸が整うのを待つこともなく、開き切った後孔にぶちゅうっっとローションをひり出した。 ぬめった塊が背中まで駆け上がってくるような感触に悪寒を覚え、更に身を大きく震わせる雛木は、まだ息継ぎさえできていない。 「か……はっ……」 それなのに、ぶるぶると震える体には容赦なく、電動で動き続けるディルドが再び突き込まれた。 「やああぁぁぁっ!」 尾を引く悲鳴を上げ、雛木はその反射でようやく少しだけ酸素を得る。もう、意識も肉体も限界を迎えていた。だが、快感なのか苦痛なのかもわからなくなった責め苦に全身をのた打ち回らせても、背中に跨った工藤は退いてくれない。 それどころか、 「あぁ、少しずれましたか。ここ、ですかね」 とマシンの取っ手を握って微調節し、雛木の内奥の狂おしい場所をディルドに正確に抉らせるのだった。 「ひいぃぃ いくうぅぅ いくぅぅっ」 もう何度目かわからないただの事実を表すだけの言葉を口にし、腰の下に敷かれたビニールに水分を搾り出す。もうそれが精液なのか潮なのか尿なのかなどわからない。 後孔への強い刺激があれば、射精せずに達するようになってきていた雛木だったが、今はもう、それがいわゆるドライオーガズムによるものなのか、射精によるものなのかも知覚できなくなっていた。 「もうやだっ もうやだああああぁぁっ」 絶叫しても止まらないマシンのピストン。その激しさも物理的な摩擦も苦しいが、いってもいっても終わりがないことが何より辛い。これが工藤のセックスだと言うのなら、雛木にはとてもではないが相手を勤められるものではなかった。 「短時間なら最大出力を味わって頂けるでしょうか」 呟くような工藤の言葉の意味など、もう何一つわからない。雛木はただ、悲鳴を上げながら惑乱していた。 だがなぜか、工藤が殊更ゆっくりと操作したリモコンの音だけは、はっきりと耳に入ってきた。 ――カチッ カチッ マシンの威力からは考えられないほど安っぽい小さなリモコンの「▲」マークの横に、最大値を示す赤い光が灯った。 ドドドドドドドドッ 「っ……     ひいいいいいいいぃぃぃぃっ」 工事用のドリルのように掘削される衝撃が脳に到達するまで、ほんの僅かなタイムラグがあった。 それはもう、犯すとか、突くとか、そういう次元の話ではなかった。 表面近くの窄まったギリギリまで引き、奥の閉じた壁をゴッと抉られる。その途中にも感じる場所を擦り上げながら進み引く一往復は、体感的には腰骨から胸元まで達する程の長さなのに、それが知覚を超えたスピードで繰り返されるのだ。 「ひいいいぃぃぃっ ひいいいいぃぃぃっ」 声を出すことが唯一自分にできることだと言うかのように、雛木の口からは悲鳴が押し出され続けている。だが、もうそれは何の意味もなさないどころか、発する本人の意識にも上らない程度の、声帯の搾り出す震えでしかなかった。 「あぁすみません、ピストンの勢いでずれてしまいましたね」 背中に跨った工藤が、ぐいっと思い切りマシンの取っ手を引く。ディルドの先端は掘削機のように、雛木の弱いところ、奥の壁の腹側を、凄まじい音を立てて、文字通り ”ガン突き” した。 「っ……っ……」 頭の中ではいくいくいくいくと絶叫しているのに、雛木の口からはもう少しの声も出なかった。 「っ……ぁ……」 ぶるりと全身を震わせて間延びした絶頂を味わう。雛木の脳内はふわぁっとした快感で満たされたが、身体は冗談のようにビクンビクンと躍り狂った。 しかし、きっと隣の部屋のカップルには気付かれなかっただろう静かな絶頂とは対照的に、タイミングを外して雛木の口から再び絶叫が迸った。 「やあああぁぁぁぁっ やああああぁぁぁあっ いくううううぅぅぅっ!」 だが、工藤に体重を掛けられて逃れられない体は再びぶるぶると震えたかと思うと、 「っ……ぁ……」 と控えめな声だけを漏らした。 そして一瞬の静止の後、 「ぁっ………!!!」 と、陸に揚げられた魚の断末魔のような激しさで無言でのたうった。 雛木はもはや、絶頂の瞬間に声すら上げられなくなっていたのだった。 「ひいいいぃぃぃっ やああああぁぁっ!」 絶頂と絶頂の合間に絶叫するが、上り詰める時には白目を剥き、舌さえも痙攣させて、悲鳴の一つも漏らせなくなる。 「っ……っ……!!……っ!!! ………いったぁっ いったぁぁ やああっ またいくっ いくうぅぅっ!……っ……ぁぁっ……ふっ……っっ……ぅんっ……っっ!!!」 そして再びの静寂と痙攣。ドドドドドッという、雛木を犯す機械音だけが真っ赤な壁に覆われた室内に響いた。 繰り返し達し続け、当然のことながら何度も気を失っていたが、その間にディルドを抜いてローションを溢れるほど継ぎ足され、再び腹を抉られる衝撃で意識を取り戻す。 しかもその度に、口にペットボトルを押し当ててしっかりと水分補給をさせられた。工藤のその冷静さを憎らしく思う余裕もなく、砂漠で遭難した旅人のように喉を鳴らして水を飲み干す。 それは、あからさまな持久戦の構えだった。そして、死ぬかもしれないと思うほどの追い込みに一瞬の息継ぎを与えてくれるのは工藤なのだと、言葉よりも雄弁に雛木に思い知らせる効果的な方法だった。 自分にこれほどの快感と苦痛の責め苦を与えているのも工藤なら、そこから救ってくれるのも工藤しかいない。雛木は今、自分の存在全てが工藤の心一つなのだと、理屈を超えた体感で脳髄にまで刻み込まれていた。 意識がふっと遠のく度に、尻から背中にかけて広範囲に工藤に平手で打たれ、否応なしに快感に引き戻される。その間も、マシンの取っ手を繊細に操り、刺激に慣れないように位置を変えて秘孔を抉られ続けた。 そんなことをどのくらい繰り返したのか。 いつの間にか手首を戒めていたボンデージテープは剥がされ、工藤も体の上から退いていた。だがその代わりに、マシンの本体と尻と太腿がボンデージテープでぐるぐると巻かれ、がっしりと固定されていた。 身をよじっても、体勢を変えても、重量のあるボール型の本体がついてきて、絶え間ないピストンを繰り返す。一時の生命の危機を感じるレベルの掘削よりはスピードは落とされていたが、尚もガションガションガションと恐るべき執拗さで雛木を犯し続けていた。 その動きを止めようとしても、自由になったはずの雛木の指先は思うように動かない。それなのに、絶頂に駆け上がるその時だけは、火事場の馬鹿力とも言うべき強さでシーツを握り締めていた。 「っ …… っ……あっいくっ……いくっ……ぅんっ……ぅ…んっ……」 次第に絶頂への登坂も声を伴わなくなっていく。雛木は無意識のうちにビニールが敷かれた場所から身を逃れさせ、さらりとしたシーツの上に手足を力なく投げ出した。いくらボンデージテープで固定されているとはいえ、本体の重みで多少突く位置がずれるのだろう。重い手足を引きずって自らシーツの上で仰向けになり、朦朧とするまま取っ手に手を添えて、自分の奥のイイ位置をディルドの先端に抉らせるようになった。 そうして、体を緊張させ、絶頂の後に弛緩させることを繰り返しながら、もう一滴も漏らすことのなくなった性器を時折もどかしげに扱くのだった。 工藤はぐずぐずになったビニールを片付け、雛木の口や秘孔から漏れる粘液を時折タオルで拭ってやりながら、飽きもせずに雛木のイキ顔を見つめている。涎と涙と鼻水にまみれた雛木の顔は汚らしいとしか言えなかったが、工藤はそれまでの意地の悪さが嘘のような穏やかな微笑みを浮かべていた。 「個人的には、拘束と相性のいい据え置き型のマシンの方が好みなのですが、小型でもそれなりに満足していただけたようで良かったです。“ガン突き”、どうですか?やはり今から本物の性器を挿入されたいですか?」 工藤の問いかけに答えることなどできるはずもなく、雛木はもう何度目かわからない、 「ぃく……ぅ…んっ」 というか細い声と共に体を震わせた。もう雛木の性器は少しも膨らんでおらず、マシンに犯される動きのままにぷるぷると揺れているだけだった。 その時、高く細かった雛木の声が、急に普段の会話程度に低くなった。 「あぁ……あぁ……いってる……いく……いく……」 どこか冷静にさえ聞こえる声だったが、表情と全身の脱力具合を見れば、もう体にほんの少しの力も入れられず、声帯さえ絞れないのだということがわかる。雛木は小さな低い声でいくいくと繰り返し、時折無言でガクガクガクッと大きく痙攣してから、「いってる いってる」と 呟きながらぶるぶると震えていた。 時折ふっと意識を失うが、筋肉が弛緩しているためにさほど肉体的な限界が来ないのか、またすぐに目覚めて「ああ……いく……いく……」と呟き始めるのだった。 もう完全に木偶(でく)のようになった雛木を前に、工藤は自らのベルトを外し、スラックスのジッパーをくつろげ、堂々と自身を空気に晒して扱いていた。その(かたち)が自分を犯し続けているディルドと同じなのかどうか、茫洋とした雛木の視線では捉えることなどできない。 ――これだけ否応なしなドライオーガズムを叩き込まれれば、自意識にも変化が生まれるだろうか。 工藤は自身を扱き、その快感を堪能しながらも、雛木をどうしたいのか、答えの出ない自問自答を続けていた。 出会った当初から、奴隷への適性を示していた雛木を可愛いと思うし、後戻りできないほどに落としてやりたいとも思う。だがそれで不幸になった可哀想なマゾヒストを知っているだけに、プレイを逸脱してはいけないという自戒も強い。 ここまでは“プレイメイト”としてのプレイの範囲を超えてはいない。そう考えながら、雛木の限界を少しずつ遠ざけ、被虐に耐性をつけさせていっている自覚はあった。それはつまり、安全圏の中で最大限にいたぶってやりたいという我侭な欲望に他ならない。 ――せっかくこの泥沼に自ら足を踏み入れてきた小鳥だ。低温の蝋で気付かない内にじわじわとその足を凝り固めてやりたい。それの何が悪い? それがどれだけ残酷なことかわかっていながら、工藤は雛木の堕落をうっとりと見つめていた。 ――もちろん、その気になれば飛び立てるよう、風切り羽は切らずにおいてあげますが。 被虐に耽溺するマゾヒストを可愛いと思う趣味は、そうそう矯正されるものではない。だがそんな強欲と同様に、被虐の味を覚えたマゾヒストの欲望もまた底のないものだ。 工藤はもう二度と奴隷を飼うつもりはなかったが、被虐に耽溺するマゾヒストに今また魅せられ始めている自分に、心のどこかで気付いていた。 「朝まではもう少し時間がありますが、”ガン突き”、続けますか?」 性的に感じさせられ過ぎて壊れた人間、というイメージそのままに、雛木の瞳は何も写さず、揺れながら上下し、わずかな理性も感じさせない。問いに答えられるはずもなく、かすれた声で「ぁっ  ぃ…くっ……」と呟いてまた身を震わせた。 人間は案外丈夫なもので、薬物を使わずに性的な刺激だけで再起不能なまでに壊すには数日を要する。だが、深層心理に上下関係を刷り込むには、一晩あれば充分だった。 「とりあえず、あなたが責められて欲情する内は、セックスを含めたトップの役割を他の人間に譲らないで頂きたいものです」 最早痙攣さえしなくなった雛木を前に、工藤はようやくリモコンの全ての数値を0に落とした。マシンを固定していたボンデージテープを剥がし、ずるりディルドを抜いて、溢れ出した白く泡立った液体を拭ってやる。 だが、奥の奥まで犯され続けた雛木の秘孔は、泡立ったローションをごぷりごぷりと漏らしながら、ゴルフボール大にぱっくりと肉色の口を開けたまま、しばらく閉じることはなかった。 《続》

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