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プロローグ 少年旅立ちの前日

赤ん坊の頃に孤児院の前に置き去りにされた というのは知っていた。 しかし名前も誕生日もなかったのは流石に ビックリだった。 僕に名前と誕生日をくれたのは 本当のばあちゃんと慕っていた 院長先生だったらしい。 それを聞かされたのはばあちゃんが 天に召されるちょっと前だった。 その事実は特に悲しいとかはなかった。 大事にしてもらったし貰った名前も 大好きだ。 誕生日だってばあちゃんとお揃いだ。 それだけで充分だった。 親に会いたいとかそういうのもない。 ばあちゃんだけで満足。 そう伝えたら前向きなとこは僕の長所だと 笑ってくれた。 ばあちゃんが亡くなって葬儀の手伝いをして それから院を出て一人暮らしをしながら 就職先で働く毎日。 そんな生活も半年経てば結構慣れてきた。 また明日も早いから寝ようと釣具屋の安売り で買った寝袋で寝た。 それがこの世界で最後の記憶になるとは 流石に思いもしなかった。
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