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新学期 03

「どうしてもダメだってんなら、俺だって考えがある」 身体のバネを使って軽快に起き上がり ちらりと逃走ルートを確認する。 扉は1つ。 そこまで距離的に10mくらい。 近いところにいたのは運が良いが、問題が1つ。 大神との距離が近い。 腕を伸ばせば簡単に掴まれる距離。 そこをいかに躱すかが問題なのだが....。 「考えねー....それなら俺にだってある」 きっとお互い何をしようとしてるか分かってる。 ジリジリと俺は距離を取り、大神は距離を詰める。 そしてお互いタイミングを計る。 「.....ッ、」 「.......っ!」 動き出したのはほぼ同時。 俺は扉に向かってダッシュ。 大神は俺の腕に手を伸ばす。 もちろん大神の方がリーチは長い。 けど腕を掴んでくるなんて予想の範疇。 分かっていれば怖くない。 持ち前の運動神経の良さを活かしてかわし、難なく扉へとたどり着いた。 ((よし、勝った!!)) そう思った。 そのはずだった。 「あ、れ.....っ」 けれど。 勢いよく開けようとした扉のノブは回らなかった。

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