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選択 01

回るはずのノブは回らなくて。 ガチャガチャと無機質な音と俺の声が屋上に響く。 「な、なんでだよ....っ!!」 「はーい、残念。俺の勝ち」 慌てふためく俺をよそに大神はゆっくりとこちらへ近づいてくる。 そして俺の背後から扉に両手をつき逃げ場を奪った。 目の前には開かない扉。 両サイドには大神の腕。 背後には大神。 逃げ場のない空間にあっさりと閉じ込められる。 「....っ、くそっ.....!」 「残念だったな」 「なんで鍵かかってんだよ.....って犯人お前か!!!」 「お〜〜大正解。よく分かったね褒めてあげようか?」 「いらん!!!てか犯人お前以外居るか!!! なんて余計な事してくれんだよ!!!!」 「そんなあっさり俺が逃がすわけねーだろ、ばか?」 「〜〜〜〜!!!ほんとうっざい!!! ていうか、最初掴み損ねたのもわざとか!!?」 「あっさり勝っちゃつまんねーじゃん。 一旦上げてからどん底に落とさなきゃ面白くない」 「〜〜っ!まじで性悪だな...!!やっぱ一旦死ね!!!」 勢い良く振り返りクスクスと自分を見下ろす男を睨む。 ぎゃーぎゃー喚いても状況は何も変わりゃしないけど。 鍵を掛けてすぐに出られないようにするなんてタチが悪すぎる。 しかも言い訳が最悪すぎる。 「わー、先輩に死ねなんて酷い言い草。 そんなに酷いことされたい?」 「んなわけあるか!!退け!!!」 「やーだね」 「....ッ」 意地悪く笑う大神の顔が至近距離すぎて ドキッと心臓が跳ねる。 なんだよ、ドキッて。 なんでこんなやつ相手にドキドキしてる....??? その事を隠したくて思わず殴りかかるが、見切ったようにあっさり受け止められ逆に手首を掴まれてしまう。 「つーかまえた。もう逃がさないよ。」 「っ....!離せ!!!」 「やだよ、離したらお前逃げるじゃん」 「あったりまえだ!!!俺は式典なんか出ない!!!」 「だーめ、ちゃんと出ろ。異論は認めん。 それでもまだ嫌って言うなら....こうするまで」 「あっ、ちょ!離せってば!!」 ジタバタと暴れる俺を抑え込みながらずるずると屋上の隅に引っ張っていく大神。 精一杯抵抗したけど大神には敵わなくて。 さっきいたところの逆側。 扉から見ると裏側に連れて行かれる。

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