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選択 02

ずるずると引っ張っていかれ、半ば突き飛ばされるようにしてフェンス際に追い詰められる。 俺の重みでフェンスが無機質な音を立てた。 片手をフェンスにつき、片手で俺の顎を掴む大神。 無理矢理顔を上に向かされ互いの視線がぶつかり合う。 フェンスに背を預けたまま 俺は目の前のムカつく相手を思いっきり睨みつける。 「最後にもう一度聞いてあげる。式典に出る気は....」 「ねぇよ。何度も言わせんな、クソオオカミ」 「......そう。それがお前の答えね....俺の言うこと聞けない悪餓鬼にはお仕置きが必要みたいだな」 全く意見を変える気のない俺に呟く大神。 「....さぁ、今日も楽しい遊戯を始めようか」 『どこまで耐えれるかな。』 そう楽しそうに笑う眼は笑っていない。 さっきまでの皆に見せてるような笑みは何処へやら。 にやっと意地悪く上がる口角と冷たく笑う瞳に半反射的に身体が竦む。 「今日もたーっくさん、可愛がって啼かせてやるよ」 「....っ、.....こんのクソオオカミめ.....ッ」 攻撃的に睨む俺をクスクスと笑って見下ろす狼。 今日もまた 負けられない戦いが幕を開けようとしていた。

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