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選択ミス 01
顎を掴まれてるせいで
顔を背けたくてもさせてはくれなくて。
近づいてくる大神を避けることすらできない。
視界が陰る。
「んんッ!ん、っく....」
齧り付くような荒々しい口付けが降り掛かり、気を抜けば全てを持っていかれそうな引力。
一瞬でも気を緩めれば途端に呼吸の仕方が分からなくなりそうだ。
「んッ!んーっ!!....ふ、ぁあ.....ッ、んゃあ」
精一杯の抵抗で相手の胸元をバシバシと叩く。
が、いとも簡単に押さえつけられてしまう。
止めることなく何度も角度を変えてキスしてくる大神。
それも、俺の様子を楽しむようにニヤニヤと笑いながら。
唾液の混ざる音と自分のではないような声に
恥ずかしさから顔に熱が集中する。
だんだんと息が上がって苦しくなってきて。
息を吸う一瞬の隙狙って温かい舌が滑り込んできた。
くちゅくちゅと唾液が混ざり、逃げても逃げても舌を絡め取られて吸われる。
その度になんとも言えない感覚がゾワゾワと全身を走り抜け、だんだん頭がボーッとしてくる。
苦しい。
息できない。
息ってどうやって吸うんだっけ.....?
分かんない。
どう、すれば.......っ
そんな思考の中、糸を引きながら離れる互いの唇。
どっちのものか分からない唾液で濡れた唇。
その唇をペロッと舐める。
少し伏せ目がちの目に長い睫毛。
少し離れてからこちらを見つめるギラギラした瞳。
.....すんげー色気。
((....ヤバイ、気持ちよかった..........かも))
いやいや、んな訳あるか。
気のせいだ。
気の迷いだ。
キスが気持ちいいとか、絶対にありえない。
変な気を起こす俺の頭は相当イカれてる。
ただそれだけだ。
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