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選択ミス 02

「......はぁ、はぁ、はぁ.....っ」 「......へたくそ」 「〜〜ッ!黙れ!!」 開口一番に発せられた言葉に、俺はブチ切れる。 おかげさまでボーッとしていた頭が覚めた。 にしても、さっきまでの自分の思考が恐ろしい。 そんな思考に陥れたこいつも恐ろしい。 「ぉわっ、......何しやがんだよ.....」 「それはこっちのセリフだ!何してくれてんだよ!!」 距離の確保のため....というのはただの後付けの理由で。 腹立つから何度か回し蹴りをかます。 あわよくば当たれ。 んで吹っ飛べばいい。 「何って....ベロちゅーだろ。舌使うやつな」 「そ、ん、...なことは分かってるっ!! てか避けんじゃねーよ、ボケ!!」 「やだよ、当たったら痛いし」 まぁそんなこと思っても簡単に当たってくるれはずもなく 相変わらず足グセ悪いね、と全て避けられてしまう。 なんという運動神経のよさ。 つくづく腹立つ奴だな。 「男相手に気持ち悪いことしたんだ!!! 大人しく蹴られろ、よっ!!!」 「やだ」 「相手間違ってんだよ!!俺は男だっての!!」 何度避けられても負けず嫌いな俺は何度も仕掛ける。 けどどれもこれも全部避けられる。 んでもってさらりと「お前が男だなんて見りゃ分かる」と言われる始末。 「あ、もしかしてはじめてだった?キスすんの。 .....って、処女失った童貞くんだから当たり前か」 聞くまでもなかったな、とトドメのような一言にカッと顔が熱くなる。 序でにこの間の出来事を思い出してしまい、恥ずかしさで余計に熱くなる。 「〜〜ッ!!黙れよっ!もう喋んな!息もすんな!!」 「え、俺死んじゃう...」 「知るか!!死んじまえ!」 「扱いひどくない?俺、一応先輩なんだけど....」 大神の言うことは全部図星なわけで。 図星だからこそ言い返す言葉が見つからない。 から文句...というか暴言を吐いておく。 お前のことなんざ、先輩だなんて1ミリも思ってないっての。

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