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式典 03
「やっと思い出したんだ」
「余計なことまで思い出す羽目になったけどな」
「それはそれは。因みに何思い出してたの?」
「だからそれは...朝、お前が俺に.......って
何言わそうとしてんだよ、ばか!!」
「あはっ、バレちゃった。作戦失敗」
何を思い出してたのか言わそうとした事がバレ、肩を思い切り叩かれた。
ちょっと痛いけどこれはキレてる訳じゃないな。
俺にからかわれて顔を真っ赤にして怒ってる煌。
その様子が面白くてケラケラ笑う。
相当恥ずかしかったのか。
ついに両手で顔を隠してしまった。
頭からプシューッと効果音付きで湯気が出そうな様子が
なんだか可愛くて。
こんな反応もするのか、と楽しくなる。
いつもギャンギャンと歯向かってくる子犬のような彼。
恥ずかしがりながら吠えてるのも可愛かったが、
こう素直に恥ずかしがられるとまた違った可愛さがある。
なんだろう。
.....わるくない。
初めてみる姿に、他にどんな表情があるのだろうと。
どんな反応をするのだろうと。
興味が湧いてくる。
そういえばホワイトデー。
すごい....喜んでくれたっけな。
あれも初めてみる反応だったっけな。
幼馴染だという後輩から仕入れた情報は大当たり。
その見返りに煌を式典に出させろ、とは驚いたけど...。
貰った情報に見合った仕事はしないとね。
ちょっと強引にさせてもらったけど。
俺にとっても収穫が大きかったから...まぁいいだろう。
嫌がらせ材料(乱れた証拠写真)は手に入れたし。
今朝はこの前と違ってちょっと可愛い様子が見れたし。
キスだけで感じでトロトロになっちゃって。
認めたくなくて口では文句言って。
でも身体はとても素直で。
今朝のことを思い出し思わず口元が緩む。
何もしない、と言ったばかりだが。
もしここでキスしてやったら....
こいつはどんな反応を見せてくれるだろう。
顔真っ赤にして怒るかな。
いつもみたいに吠えてくるかな。
それとも言葉も出なくて金魚みたいにパクパクするかな。
ちょっと.....見てみたくなる。
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