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可愛い 01
「んーっ!やっとお昼!」
授業の終わりを知らせるチャイムと同時に思いっきり伸びをする。
後ろを振り返り煌の方を見ると、案の定彼は寝てた。
ほんと、よくここまで爆睡できるよな.....。
昼間寝てない日はないんじゃないか?ってくらい寝てる。
まぁよく寝る子は育つって言うし?
と言っても一向に伸びなさそうな身長なのが面白い。
いつも下から見上げてくる煌を思い出してふふっと笑う。
あの小動物感....可愛いよね。
なんて話はさておき。
これだけ寝て、サボって、授業受けなくて。
それで首席キープできるのが心底羨ましい。
赤点を取るどころか常に成績学年トップの煌。
それでいて顔も運動神経も良いだなんて....
神様は意地悪だよね。
俺だって運動できるしそこそこ顔がいい自信もある。
勉強は...あんまりだけど。
でも断然彼の方が女子から騒がれてる。
隠れファンだって多いし、御三家並みの人気だから密かにファンクラブが存在するって噂も聞く。
当の本人は....
そのことに全く気がついてないみたいだけど。
寧ろ悪口言われてると思ってるみたいだし。
色々な意味で尊敬すると同時に、その幼馴染の出来の良さに嫉妬せずにはいられない。
人間生まれ持ったものをあーだこーだ言っても仕方ない。
仕方ないんだけど......やはり羨ましさは拭えない。
しょうがないじゃん、俺だって人間だから。
とはいいつつ、いつも文句言いながらも勉強を教えてくれるから様々って感じ。ありがたい。
((なんだかんだ、優しいんだよな....))
他のクライスメイトは近づきにくいからこそ、
俺だけが独り占めできる小さな友人。
いつ起きるかなーなんて少し待ってたけどやはり起きる気配はなくて。
その様子がまた堪らない。
気持ち良さげにお休みのところ申し訳ないけど、
そろそろ起こしてあげないと後で文句を言われ兼ねない。
そう思って席から立ち上がり、ゆっくりと近づいていく。
あー........
それにしても、寝顔ちょー可愛い....
なーんて思ってしばらく眺めてたのは絶対に秘密。
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