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可愛い 02
「こーう。ほら.....起きてよ、昼休みなったよ」
「ん、.....」
.......どんだけ爆睡してんだ、この子。
何度声かけて揺すっても、ちっとも起きない。
頬つまんで伸ばしてみても、起きない。
「ねーってば、おーい.....。
...おい、起きろよ」
「.........」
「ダメか....」
痺れを切らして耳元で口調を荒げてもダメ。
ピクリともしない友人にため息が漏れそうになる。
ほんとどれだけ寝るの。
何しても起きなさそうだから、頭を捻る。
どうしたらすやすや夢の中の彼は起きるのか。
((んー.....そうだな....あ、))
ふと名案を思いついて、とある人の名を口にしてみる。
「.....あ、大神先輩....」
「っ!?......みな、と......?」
「あ、起きた」
((おっ...と....?この反応...もしや....))
ビクッと肩を揺らして顔を上げた煌と目が合う。
その反応に今朝の推測に確信を持つ。
大神先輩と確実に何かあったな、と。
それも隠したがるほどの何かが。
「おはよー煌。よく寝れた?」
「.....大神は?」
なんか面白そうな気配がするから聞き出さなければ。
そう心に決めて、取り敢えずにこやかに笑いかける。
眠そうに目を擦りながら辺りをキョロキョロする煌。
多分先輩のこと探してるんだろうけど。
何せ俺の嘘だから居るはずもない。
さっきは何もないと言ってたけど
煌と会長の間で何かあったのはすぐ分かった。
煌の嘘は顔に出るからものすごく分かりやすい。
すぐバレるのに都合の悪い事隠そうと嘘ついて。
それでいて上手く隠せるかもって思ってるのが面白い。
今だってバレてないと思ってるんだもんなぁ....きっと。
先輩と何かあったと分かって、からかわない訳がない。
「会長?居ないけど?
もしかして、飛び起きたの会長効か....」
「だぁぁああっ!!黙れ!お前何言おうとしてんの!?」
お、食い付いてきた。
やけに食いつきが早い。
予想通り。
声は抑えてるけど叫び出す煌にニヤけが止まらなくなる。
ガタッと椅子から慌てて立ち上がり、俺の口を塞ごうと精一杯の背伸び。
口まで届かない手を必死に伸ばしてくる姿があまりにも可愛すぎてさらにニヤけてしまう。
今だって怒ってるけど顔は真っ赤。
可愛すぎでしょ......。
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