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可愛い 03
反応が逐一可愛すぎる友人にニヤけが止まらなくて。
後で怒られるのを承知で、もう少しからかってみる。
「だって会長の名前にすぐ反応したし....」
「ちげーし!!断じて、違う!意識なんかしてない!」
「え....?」
「ぇ、ぁっ、....な、なんでもないっ!行くぞ!!」
勢いでボロが出てしまった煌。
それもクラスに響き渡る声での”意識してない”発言。
クラスメイト達が一斉に会話をやめてこちらを見つめ、何ごとかとヒソヒソ話し始めた。
自分でも気づいたみたいで、更に耳まで真っ赤っか。
口をパクパクさせて一瞬押し黙る。
そして逃げるように教室から飛び出してしまった。
あぁ、つくづく可愛い。
溢れて止まらないニヤけ。
口元を押さえても緩むばかり。
けど.....なんか悔しい。
この可愛さが先輩絡みだなんて悔しい。
会長が煌にこういう顔させてるって思うとムカつく。
けどすごく面白いし可愛いからやっぱ先輩グッジョブ。
先輩にこの姿は見せたくないなぁ....。
知ってるのは俺だけで十分。
自分だけが知っていたいと思う可愛い姿。
でもからかっただけでこんな顔になるくらいだ。
きっとあの人も見てしまってるのだろう。
他にどんな可愛い姿を見たのだろうか。
そう考えてしまって急にモヤモヤ。
一体何があったんだろう。
あの人は彼に一体何をしたのだろう。
((すごく....気になるなぁ....))
会長となにがあったのか。
どう問い詰めて吐かせようかとあれこれ考える。
これから先、きっと面白いことが起きる。
そんな予感がする。
長年の付き合いからくるこんな時の感は素晴らしく冴えるのだ。
そんな事を思いながら、屋上に向かって早足で歩く煌の背中を俺はクスクス笑いながらついていった。
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