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揺さぶり 01
「.....なぁ、湊。なんなの、さっきの起こし方。
俺を怒らせたいわけ?」
「だってー...煌ってば全然起きないからさー....」
「だからってあんな起こし方....っ!」
あんなことがあったせいで、"会長"とか”大神”とかいう言葉に妙に反応してしまう。
油断してたこともあって盛大に反応。
おかげで恥ずかしい思いをする羽目になった。
教室から逃げるように屋上まで来て。
昼ご飯を広げながら湊に文句をぶつけてる。
きっと湊は分かっててわざとあの起こし方をしたんだろうから相変わらずタチ悪い。というか性格悪い。
クラスの奴らもこっち見てたし。
何人か笑ってたし。
.....くそっ、最悪だ。
恥ずかしい....。
火照る顔が治らなくてパタパタと手で仰ぐ。
「ねーね、それでさ。会長となにがあったの?」
「.....」
「えー、だんまり?」
「.....」
さっきのことに腹を立ててるのもあり。
言いたくないのもあり。
俺は幼馴染の言葉を無視してそっぽを向く。
けど。
「.........言えっつってんだろ、無視すんなよ」
さっきまでそっぽ向いてたはず.....なのに。
いつもより低い湊の声が聞こえたと思ったら
俺の視界が反転した。
「っ.....、イヤだ....っ.....どけよ...」
「嫌だね、退かないよ」
どこか機嫌の悪そうな湊が俺を押し倒し、
真上から見下ろして言葉を紡ぐ。
他人に真上から見下ろされること、本日3度目。
昔から湊は機嫌が悪くなると雰囲気が変わる。
あと拗ねた時とか......他にも色々。
なんにしろ、そういう時の湊は何してくるか分からない。
今回は一体何を........
真上にある湊の顔を直視したくなくて横を向く。
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