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体育 03

「なんで!!なんで2年がいるの!!?!?」 友人の服を掴み、ガクガクと揺さぶる。 2年がいるなんて聞いてない。 況してや大神がいるなんてもっと聞いてない。 「き、きっと場所間違えて....」 「クラスメイトいるから間違ってないよ」 「じ、じゃああいつらが間違えて....」 「いるの大神先輩だけじゃないし間違えてないよ」 「じゃあ、じゃあ......なんで.....」 大神に絶対見つからないよう湊の背後に隠れる。 頭の中は大混乱。 まじで。なんでいるの。 「なんでって.....合同授業だから?」 「.....は?」 俺の疑問に対して簡潔に答えを返される。 けど。 なにそれ。 合同授業? 聞いてないけど。 「だから、合同じゅ....」 「聞こえてる!聞こえてる!そうじゃない!! そんな話、俺聞いてない....っ」 「え、今更?」 「え?」 びっくりして振り返った湊をぽかんと見つめる。 「中2の時の体育も先輩達と合同だったじゃん」 「え、うそ」 「嘘じゃない、本当」 「うそだ、うそだっ、あいついなかったじゃん!!!」 「あー、まー、それはそうだけど....」 例年、中2中3の体育は合同。高1高2の体育も合同。 中2の時は違うクラスの先輩たちとの合同授業だっただけで、今回たまたま大神のいるクラスだった.....という事らしい。 因みに去年、中3の時は後輩と合同体育だったとか。 今までジャージの色まで気にしたことのなかった俺にとっては今知った新事実。 よりによって、何故あいつのクラスとなんだよ。 「まぁいいじゃん、楽しそうで」と楽観的な湊と 「どこが!?全くよくないだろ!!」と吠える俺。 これから1年間、体育で毎回顔を合わせる事になる。 休んだらバレる、何されるかわからない。 休まなければ直接顔を合わせる、何されるかわからない。 『....見てるからな』 ふと言われたこと思い出し、これの事かと歯軋りする。 体育は自分の目で出席確認可能。 序でにクラスの奴らに聞けばイチコロで俺の出席状況がバレる。 最悪な状況でしかない。 どうすりゃいいんだよ....と頭を抱えてしゃがみ込む俺の横に、楽しそうに笑いながら一緒に座り込む友人。 「なんでそんな嘆くの、楽しそうじゃん」 「なんも楽しくねーっつの....最悪だよ、最悪!」 「違う違う、俺が楽しめるじゃんって」 「お、ま、.....ふざけんな!!」 結局俺は何も楽しくねーよ!と、思い切り叩く。 あはは、と楽しそうに笑う友人の背中や肩を何度も叩きながら、頭の中は「まじでどうしよう」でいっぱい。 あああああ、と奇声を発する俺とただ楽しそうに笑う湊。 女子の歓声で俺の声が掻き消されてるのがありがたい。

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