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始まり 01
暖かくなったとは言えまだ少し肌寒い朝の屋上。
通常立ち入り禁止のはずの場所で、学園内一の不良と噂される天宮煌(あまみや こう)は新学期早々サボろうとしていた。
この春高等部一年に進学したものの授業など全く出る気もなく校門からここへ直行。
第二ボタンまで開け放たれたシャツと緩めに締められたネクタイ。ブレザーの下から顔をのぞかせているパーカー。
そして薄い茶髪の下で光に反射するピアス。
全てが校則違反な格好。
他校の不良に目をつけられ絡まれるのは日常茶飯事で、
そのせいでどこかしらに怪我をしているのも毎日のこと。
その姿を見た生徒達から広まった噂は数知れずだ。
口が悪く、気に入らないことがあればすぐに手がでる。
サボり癖がひどい。
喧嘩は負け無し。
女誑し。
などなど悪評が尽きない。
お陰様で学園のお偉いさん方の悩みのタネの中心に長年居座り続ける厄介者な存在。
一番初めのはあながち間違いでもない。
それにサボり癖があるのも事実。
が....あとは大体事実無根な噂が多く、噂が勝手に一人歩きしているのが殆どだ。しかも尾鰭が付きまくってる。
喧嘩は殆どした事がないし、彼女なんかいた事ない。
所謂、生きてる年数=彼女いない歴ってやつ。
そんな俺が女誑し....逆に笑えてしまう。
何がどうなったらそんな噂が広まるのだろうか。
だがこの他にも俺に関する噂や悪評は後を絶たず、挙句の果てには「怒らせたら病院送りを覚悟しろ」などと言われ始める始末。
なんでこんな根拠もない噂が絶えず広まり続けるのか...。
そんなこと俺の知ったことではないし、むしろ俺が知りたいくらいだ。
けれどもそんないかにも危険因子としかとれない噂が一人歩きをして広まっているせいで、わざわざ用事もなく俺に近寄ってくる人は数少ない友人以外で誰もいない。
........ただ一人、「あいつ」を除いては。
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