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そんな感動必須のベタな恋愛ドラマのような経験をしたのがつい数ヶ月前の話。 あれよ、あれよと言う間に話は進み、なんの運命の悪戯か初恋の男は俺の義兄となった。 事の発端は約半年前。 話題は俺の1つ上の姉、菜緒(なお)から始まる。 姉のスッピンは俺にそっくりだ。 でも女は化粧でかなり変われるだろ?元々どこにでもいそうな可もなく不可もなくな顔付きの俺らだったから化粧を覚えた姉は化けた。それはもう上の中ぐらいだ。上の中。リアルだろ。 かと言って俺が化粧したら同じように綺麗になれるかと言ったらそうではない。一度酔っ払った姉に羽交い締めにされて化粧を施されたが、あれは酷かった。いくら顔が似てるとは言っても男と女じゃ骨格や肉のつき方が全然違って、ただ男が化粧しましたというだけで我ながら本当に気持ち悪かった。 それはまあ置いといて、綺麗になってからの姉は今までが嘘のようにモテた。なのに誰一人として付き合わず、キモいウザいダルイの三拍子揃った愚痴を俺にぶつけて来るんだから意味がわからない。 多分理想が高いんだろうな、なんて思ってたけどそうは言っても姉は30手前。俺は別に何歳で結婚しようと本人の勝手だと思うが、親からしたらそうでは無かったらしい。 姉が29歳になった頃から、父親がしげしげと見合い写真を持ってくるようになった。 この人なんてどうだ、あっ、こっちの人は大企業に勤めてて将来も安泰で…そうそう!あっちのは公務員だぞ!みんなそろそろ身を固めたいと言っててな… 最初は適当に流していた姉だったが机の上に積まれていく見合い写真の多さに、ある日ついにイライラが爆発した。 「お父さん!いい加減にして!あたし、付き合ってる人いるから!」 それに対して父を筆頭に母、俺と同時に「ええええええ!?」と大絶叫。 続くように父が「嘘付け!そんなみえみえの嘘付いて恥ずかしくないのか!お前今いくつだ!本当に居るなら今度連れてこい!」と叫んだ。 「いいわ!分かったわよ!明日…は無理だから、明後日!土曜日、お父さん休みよね!?連れてくるからもう二度と結婚結婚て言わないでよね!!」 後半若干ヒステリー気味に叫んだ姉はバァンと派手な音を立ててリビングから出て行った。 そして、2日後に姉が連れてきたのはまさかの俺の友達兼、初恋の相手である(りょう)だった。

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