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凌は高校時代からの友人で社会人になってからも仲良くしていたので、よく家にも遊びに来ていた。だからよく知った顔に両親はたいそう喜んだ。 そりゃそうだ。素性も知らぬ男より、自分の息子とも関係の長い友達なら誰よりも信用できる。 多分複雑だったのは俺だけだったんじゃないだろうか。 高校で初めて出会って、初めて恋というものを知り、相手が同性である事に悩み、時には涙し苦しんだ思春期を経て何とか友人というポストに収まる精神力を備え付けたと思ったのに。 ――初恋の相手が姉の恋人って、神様性格悪過ぎじゃない? それに凌と姉が付き合ってるなんて全然気付かなかった。どうして言ってくれなかったんだろう… なんて打ちひしがれていた俺にその後さらなる悲劇が待っていた。 凌が両親に向かって俺の好きな切れ長の目を向けキリッとし、姿勢を正す。ああ、スーツ似合ってる…格好いいなあ。 「俺達、結婚しようと思います。お嬢さんを僕にください」 いい声でそう言うと、机すれすれまで頭を倒した。 頭を下げる横で姉は凌の肩を叩いてもういいわよ、と頭を上げさせる。 そして、ポカーンとしている父親に向かって、盛大に性格の悪そうなドヤ顔を向け、 「というわけだから、お父さん。あたし結婚するわ」 と笑みを浮かべた。

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