57 / 89
監禁 14
先に口を開いたのは向こうだった。
「…蓮、朝霧組と若頭について調べろ。俺のPCなら足跡は残らない」
「…京さんは」
「場所の特定」
言うなりソファから立ち上がる。
そのままドアへ向かう背に思わず声をかける。
「…京さん」
「何だ」
「さっきの翠…かなり取り乱していましたよね」
「…それがどうした」
映像を見て、微かに感じた違和感。
今までに、こんな状態に陥った彼なんて見たことがなかった。
「…一緒に仕事してきて、あんな姿見たことないです」
それに。
若頭が見せた書類を見て取り乱すならまだしも、その直後、若頭が部下に暴行を働いた事でパニックに陥っている。
胸の内で燻っていたもやもや。
それは──
「翠は、何かPTSDのようなものを持っているんですか…?」
開けてはいけない、パンドラの箱──
ともだちにシェアしよう!