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監禁 15

「…俺が勝手に話していいことじゃない」 掠れるように呟かれたそれは、自分の推理が当たった事を意味していた。 「っ教えてください、俺…翠と仕事してるのに、翠について何も知らない…」 鼻の奥がつん、と痺れて。 ぐっ、と目を瞑って堪える。 「もう、翠が苦しんでる姿見たくないです…俺に出来ることがあるなら何だってしてやりたい」 「…蓮、」 「お願いします…!」 ソファから立ち上がり、京さんに頭を下げる。 翠に助けられてばかりの俺じゃない。 今度は俺が翠を助ける番だ。 しかしそんな思いも虚しく。 京さんは、はぁ、とため息をつくと、俺に背を向け部屋から出ていってしまった。 ガチャン、と。 無機質な音が余計に胸を抉る。 ゆっくりと頭を上げる。 …そうだよな。翠より劣っている俺に言うわけないか。 ここでもまた、自分の不甲斐なさに腹が立ち、俯いたまま唇を噛む。

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