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突然 10
車から降りて来た意外な人物に驚きを隠せない。
「朝霧組の…若頭」
この辺を取り仕切っている朝霧組。
彼はそこの若頭だ。
彼とは初めて会ったが、彼のことを調べようとして消された情報屋を何人も知っている。
だからこそ、危険。
さっさと逃げたいけど、後ろは壁。
「…っどーすればいーんだよ」
ヤケクソに呟いた時。
若頭がこちらに向かって歩いて来た。
若頭が一歩進む度、一歩下がる俺。
しかし、そんな事が続く訳もなく。
「…っと」
無残にも、壁に背中がついてしまった。
顔を見られたくなくて、必死に下を向く。
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