10 / 89

突然 10

車から降りて来た意外な人物に驚きを隠せない。 「朝霧組の…若頭」 この辺を取り仕切っている朝霧組。 彼はそこの若頭だ。 彼とは初めて会ったが、彼のことを調べようとして消された情報屋を何人も知っている。 だからこそ、危険。 さっさと逃げたいけど、後ろは壁。 「…っどーすればいーんだよ」 ヤケクソに呟いた時。 若頭がこちらに向かって歩いて来た。 若頭が一歩進む度、一歩下がる俺。 しかし、そんな事が続く訳もなく。 「…っと」 無残にも、壁に背中がついてしまった。 顔を見られたくなくて、必死に下を向く。

ともだちにシェアしよう!