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めでたくepilogue
「サトシさん。随分とスッキリした御顔なことで~」
「ほんとよね」
「いやいや、まあ、なんだ。松田と絢ちゃんののおかげです」
「へいへい」
絢ちゃんのみたい映画があって、松田は見たくない。俺は絢ちゃんと同意見ですこぶる見たい。だから一緒に行くことにしたら松田とコウタロウはついてきた。みたくないくせに。
映画の前に腹ごしらえでうどん屋にいる。コウタロウはさっきまで食べてたのにいなくなった、トイレかな。
「なんだか、つまんない。もっとこじれたら「絢ちゃんが仲裁にはいります」をやってみたかった。いっつもマツばっかでさ、ずるい」
「俺は別に言いたいことを言ってるだけで、仲裁なんぞしたことないぜ?」
仲のよい二人を見てると幸せな気持ちになる。
「また何かあったら話きいてよ」
向かいの二人が顔を赤くした。へ?なんですの?
「ああ~これはいかん。サトシの節操なし」
「ほんとだ、サト、節操ない」
「さとちゃん!またそうやって笑顔を振りまいて!」
いないとおもったコウタロウが戻ってきた。
「ふりまいてませんって!普通だって、普通!」
「フリマイテマシタ」
ちょっと!松田&絢ちゃん!シンクロすんな!
「はい。どうぞ」
コウタロウが皿を置いた。そこにはおにぎりが一つ。思わずコウタロウの顔をみる。
「うどんは腹もちが悪いんでしょ?これから好きな映画みるんでしょ?お腹なったら恥ずかしいよね」
やば……こうやっておにぎりが現れて、そのあとトイレで食べたことを思い出しちゃう。なによりも、こういうコウタロウが俺は好きだ。ほんとにね。
「ありがと」
うどんのつゆとおにぎりって最高だ~
「村井。餌付のしがいがあるだろ?なんせこんなに嬉しそうだ。おにぎり1個で」
つまらなそうに松田が口を開いた。
「ほんと。サトの幸せの顔って、かわいい!より破壊的。ホントかわいいわ」
おなじく絢ちゃんが続く。
「さとちゃんはね、僕の糧なんだ。」
おわ、なにを恥ずかしいことをそんな素敵な顔で言っちゃってるわけ?コウタロウさん!(って俺も思わず見とれた)
松田と絢ちゃんがぽわ~~んとした目でコウタロウを見ている。
「やっぱ村井のほうがレベル上だな」
「うん、前言撤回。サトのはるか上、エベレストレベル」
「ちょっとまてよ!コウタロウは俺のなの!」
今度は三人にジーっと見詰められた。もちろん俺は安堵の色を浮かべる優しい瞳に視線を合わせる。
松田の言ったように、わからないことがあれば聞けばいい。でもね、こうして互いの視線を合わせたら、言葉を交わすよりも沢山のことが見えるかもね。ね、コウタロウ。
俺たち少しだけ前にすすめたかな?進べき方向の「前」がどの方向がわからないけど、コウタロウが横にいてくれれば、迷うことはないよね。二人一緒にいられるよね。
そうだよね、コウタロウ。
<おしまい>
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