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解放⑧
甘噛みされて、背中が仰け反った。
口を付けられた小さな粒から、びりびりと電気が走る。
音を立ててしゃぶられて、耳から犯されているように感じて、思わず目を瞑り耳を覆った。
その手をやんわりと外され、瞼にキスされて、ささやかれる。
「詩音…恥ずかしくないから…しっかりと俺を見て、感じて…」
その優しい声にゆっくりと目を開くと、継が自分の指を舐めていた。
その様がエロティックで美しくて、いつしか涙も止まり、瞬きもせずに見つめていた。
ふっ と柔らかな微笑みを落とすと、俺の膝を立てさせ、ヒクつく後孔に濡れた指を差し入れてきた。
「あっ」
既に濡れそぼり、愛液を垂らしていた後孔に、難なく指は飲み込まれていった。
少し節立った男らしい指が、襞を纏わせながら肉筒を進んで行く。
小さな襞の一本一本が、継の指にキスをするように嬉々として縋り付いている。
そしてある一点で指は止まった。
途端にびくりと跳ね上がった俺の身体を愛おしそうに眺めた継は
「…ここだな…」
と呟くと、執拗に責め始めた。
立て続けに与えられる快感に追い付かず、喉が ひゅぅっ と鳴る。
余りの気持ちよさに、首を振り快楽の波を散らそうとするけれど、何の役にも立たない。
俺の気持ちと裏腹に正直な身体は、びくびくと跳ね、愛液は溢れ出し、甘い吐息と匂いが溢れかえる。
「あっ…く…っ…はあっ…あ…」
意味を成さない快楽の言葉は、吐息となって継を煽るばかりだった。
継の顔が足の間に降りてきて、あっと思った瞬間、指が一気に抜かれた。
「あ…」
『どうして抜くの?』という心の声を飲み込んだ途端に、ぬるりと滑ったものが後孔に入り込んできた。
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