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解放⑦
その言葉を継が拾った。
「詩音…もう一度…もう一度言って?」
「…好き…継のことが、大好き…愛してます。
だから…俺を…」
上擦った声で、必死に紡ぐ。
泣きたくないのに涙が溢れてきて声が出なくなった。
『離さないで』
唇だけが言葉の形に動いた。
それを見た継が
「一生…いや、生まれ変わっても絶対に離さないっ!
俺だけの詩音…俺から離れるな!」
と抱きしめてきた。
さっきよりも体温の上がった身体が絡み合い、また唇が塞がれた。
ただひたすらに一途に
『愛してる』
『愛しています』
という言葉だけが繰り返される。
身体の前にも後ろにも、あちこちに散らばる赤い鬱血の跡は数え切れないほどで、吸い付かれる度に漏れる吐息が、継を更に駆り立てる。
恭しく掲げられた右手の薬指に落とされたキス。
二人の愛の印の指輪から、継はしばらく動かなかった。
「…継?」
不安になってその名を呼ぶと
「改めて誓っていた。
お前を苦しめる全てのものから、俺が必ず守る…と。
そして永遠の愛を…詩音、どれだけ『愛してる』と言っても足りないよ…」
「…継…」
抱きしめられ、抱きしめて。
泣きそうになりながらも、密着する肌の心地よさにうっとりと高揚し、濃厚な雄のフェロモンに思考が覚束なくなってきた。
「俺のために生まれてきてくれてありがとう。」
優しく頭を撫でながらささやかれ、俺はもう限界だった。
ふえっ、ふえっ…
涙腺が決壊した。
泣き出した俺をあやしながら、継が涙を舐め取り、唇を奪われる。
そして喉を滑り降りる舌先は、鎖骨まで来ると、その窪みを 骨を伝い、真っ赤に色付いた果実へ辿り着いた。
先程から弄られ倒されたそこは、乳輪までも膨れ上がり引っ張れば取れそうだった。
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