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解放⑩

涙目で見上げる俺の頬をそっと撫でた継が 「よくできました。」 と労いの言葉をかけた。 そしてキスを一つ落とすと 「動くぞ。」 とだけ言い、俺の返事を待たずに動き始めた。 ずちゅ、ずちゅり、ずちゅっ 重量感のある熱い楔が抽挿され、肉筒を擦り付けていく。 ああっ…この感じ…堪らない… 無意識に身体をくねらせる俺の姿を継は満足気に眺めている。 ほしい。この(ひと)がほしい。 身体も心も…全てがほしい。 もっと…もっと俺を求めて。俺を啼かせて。 俺を…感じさせて、イかせて…… 細胞の一つ一つが継を求めている。 「詩音…詩音…俺の、詩音…」 継はひたすら俺の名を呼ぶ。 俺はあなたの所有物…好きなように扱っていいから、奥まで…あなたをちょうだい。 伸ばした手を掴まれ、行き止まりまで絡めた指が、じっとりと汗で湿ってくる。 腰を回し、奥へ奥へと入り込んでくる楔は、ぐちゅりと最奥まで達した。 「ああっ」 身体を折り曲げられて苦しいのに、心が満たされている。 激しい抽挿に、自らも腰を擦り付けて催促する。 浅ましいこの痴態を彼はどう見ているのだろう…俺のことを嫌いになったりしないだろうか… 「…詩音…」 動きは激しいのに、優しい声が俺の名を呼ぶ。 ゆっくりと開けた目は、涙でボヤけていたけれど、笑顔の継が見えた。 「俺だけに見せろ。その感じる様を。 どんなお前も綺麗だ。 愛してるよ、詩音。」 どうして どうしてこの(ひと)は 俺が一番ほしい言葉を一番ほしい時にくれるのか どんな俺も綺麗だと言うなら あなたの愛撫で感じる俺を…見て…

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