824 / 829
エピローグ⑩
Ωという呪われた性を自覚するようになってから、一生ひとりで生きると決めていた、いや諦めていた。
そのための努力は惜しまなかった。
それが、互いに惹かれ合って、心から愛する人に巡り合うことができた。
俺の至らぬところも全て認めて包んで愛してくれる、運命の番に。
Ωは…呪われていたのではなく、祝福されていたんだ。
笑って怒って時々爆弾落として、支え合って喧嘩もして…そうやって俺達は“家族”になっていく。
ぐに、ぐにゅ
あはっ、ちび太…俺は、君のパパと出会えて本当に幸せなんだよ。
「まぁま、ぎゅうっ!」
「よいしょっ、と。
仁、ちび太起きてるよ。」
「ちびたー、いいこいいこ。」
ぎゅうっ、と仁を抱きしめる。まだまだ小さくて守ってやらなければならない大切な存在。
汗臭くて日なたの、それでいて優しくて清々しい匂いがする。
少し汗ばんだ髪の毛を掻き上げて、おでこにちゅっ、とキスをすると
「まぁま、だいしゅき!」
しがみついてくる小さな手。
この子もきっといつか、愛する番と出会い、また命を育んでいくのだろう。
どうか、人を愛し愛され真っ直ぐに歩んでいけますように…
「詩音くーん!夕飯前だけど、パパがちょっとだけおやつにしようって!
仁くーん、おいでー!」
お義母さんの明るい声が響く。
「みんなただいまー!お義父さん、お義母さんお帰り!優!いい子にしてたか?」
右京さん達も帰ってきた。
程なくして最愛の番も。
「ただいま!詩音、疲れてないか?」
そしてみんなに隠れて降るようなキス。
甘い匂いに、溺愛されていることを実感する。
これから先どんなことがあっても、いつまでも、いつまでも、俺らしく生きていこう。
「詩音、愛してるよ。」
舞い散るキスとその言葉に、満面の笑みで答える。
「継、愛していますよ。」
――fin――
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!