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エピローグ⑩

Ωという呪われた性を自覚するようになってから、一生ひとりで生きると決めていた、いや諦めていた。 そのための努力は惜しまなかった。 それが、互いに惹かれ合って、心から愛する人に巡り合うことができた。 俺の至らぬところも全て認めて包んで愛してくれる、運命の番に。 Ωは…呪われていたのではなく、祝福されていたんだ。 笑って怒って時々爆弾落として、支え合って喧嘩もして…そうやって俺達は“家族”になっていく。 ぐに、ぐにゅ あはっ、ちび太…俺は、君のパパと出会えて本当に幸せなんだよ。 「まぁま、ぎゅうっ!」 「よいしょっ、と。 仁、ちび太起きてるよ。」 「ちびたー、いいこいいこ。」 ぎゅうっ、と仁を抱きしめる。まだまだ小さくて守ってやらなければならない大切な存在。 汗臭くて日なたの、それでいて優しくて清々しい匂いがする。 少し汗ばんだ髪の毛を掻き上げて、おでこにちゅっ、とキスをすると 「まぁま、だいしゅき!」 しがみついてくる小さな手。 この子もきっといつか、愛する番と出会い、また命を育んでいくのだろう。 どうか、人を愛し愛され真っ直ぐに歩んでいけますように… 「詩音くーん!夕飯前だけど、パパがちょっとだけおやつにしようって! 仁くーん、おいでー!」 お義母さんの明るい声が響く。 「みんなただいまー!お義父さん、お義母さんお帰り!優!いい子にしてたか?」 右京さん達も帰ってきた。 程なくして最愛の番も。 「ただいま!詩音、疲れてないか?」 そしてみんなに隠れて降るようなキス。 甘い匂いに、溺愛されていることを実感する。 これから先どんなことがあっても、いつまでも、いつまでも、俺らしく生きていこう。 「詩音、愛してるよ。」 舞い散るキスとその言葉に、満面の笑みで答える。 「継、愛していますよ。」 ――fin――

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