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エピローグ⑨
二人いないだけで寂しい食卓。
お義母さん…目一杯お義父さんに甘えられたのかな。
「詩音、仁の用意は俺がするから慌てなくてもいいからね。」
「あっ、大丈夫です!ありがとうございます。」
いけない、ぼんやりしてた!
きちんとスーツを着て、右京さんとは別々に出掛ける。
「「行ってきまーす!」」
さあ、仁の保育園デビューだ!
俺は緊張してるのに、仁は平気みたい。そんなところも継に似たのかな。
保育園に着いて教室へ入っても、仁は泣かないし、愚図りもしない。さっさとお友達のところへ行ってしまった。
何だか急に親離れされた気分になった。複雑。
継と俺は先生達に挨拶した後、別室へ通された。
そこで、経営理念や年間行事や決まり事等々、特にベータ性の取り扱いのことは念押しされた。
はぁ…親になるってやっぱり大変なんだ…
俺の両親もこうやって色んな思いをしながら、俺を育ててくれたんだね。
継は…すっかりパパの顔だ…俺に甘えたになるのは相変わらずだけど。
ふふっ。何か変な感じ。
説明が終わる頃には丁度お迎えの時間になり、まだ遊びたくて愚図る仁を宥めすかして連れ帰った。
お義母さんと右京さんの苦労が身に染みて分かる。また爆弾を落とさねばならないのか…
継を見送り、家に帰ってぐったりとしていると、お義母さん達が優君を連れて帰ってきた。
「ただいまー!詩音君、お留守番ありがとう!
おっ、仁君、保育園どうだった?」
「お帰りなさい!帰るの嫌だって駄々をこねて大変でした。お義母さん、ゆっくりできましたか?」
「ゆーう!まーちゃっ!」
お義母さんは仁を抱き上げながら
「仁君…まぁまの言うこと聞かなきゃ、ね!
ふふっ、ありがとう。うーんと甘えてきたよ。」
ふわふわと甘い匂いが…俺達もこんな夫夫になりたいな…
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