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結ばれた番②
いくら抱いても飽きることなく、その身体を求めてやまない。
貪るように喰らうように互いを求め続ける。
抱いては微睡み、自分とは違う甘い匂いと温かさにふっと目覚めては、詩音のたおやかで美しい身体を開き欲を吐き出す。
逆に詩音が先に目覚めて俺にキスを仕掛けて起こされ、またまぐわう。
どこも触り残したところなんてない。
身体のあらゆる部分を全て触り、口付け、暴いていった。
恐らく詩音自身も見たことも触ったこともないところまでも。
部屋は吐き出した欲の淫猥な匂いが充満しているが、そんなこと気にならなかった。
逆にその匂いに更に煽られて、愛の行為に溺れていく。
飲まず食わずで三日間…ただ獣のように愛し合った。
4日目の朝…
獣じみた思考がようやく元に戻ってきた。
腕の中には小さな寝息を立てて眠る俺の番。
詩音が薄っすらと目を開けた。
「おはよう、詩音。」
詩音はびくっと身体を震わせ瞬間起き上がり、俺の胸から慌てて離れた。
「え…っと…あの…俺…どうして…」
ぱちぱちと瞬きしながら何か考えているようだ。
あんなに愛し合ったことを覚えてないのか?
自分が何も身に付けず、身体中に残った赤い斑点を見た途端に、詩音の身体が朱に染まった。
そして、思い出したように右手を頸に当てると、震えながら呟いた。
「噛み跡?…まさか…」
「詩音、俺達は結ばれたんだ。後先逆になってすまない。
俺と結婚してくれ。」
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