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結ばれた番③

「えっ…」 恭しく詩音の左手を取ってその薬指にキスをする俺に、詩音は大きな目を見開いて何か言いかけたが、そのまま黙って俯き固まってしまった。 何かマズかったか? 華奢な肩が震え出した。俺が握っている左手も細かに震えている。 俺、何かやらかしたか?いや、プロポーズは直球で簡潔にしたぞ? 「…詩音?」 恐る恐る名を呼べば、ぽたりぽたりと溢れる涙が布団カバーに吸い込まれていく。 詩音は空いた右手で溢れる涙を拭い、静かに泣いている… 「し、詩音、泣くな。俺のこと…嫌だったのか? …番うのも結婚も嫌だったのか?」 黙って泣き続ける詩音をすっぽりと布団でくるんで抱きしめ、俺はただオロオロとするばかりで。 詩音が泣き止むようにと祈りながら、ひたすらあやすように髪を撫でた。 詩音は(あらが)うわけでもなく、俺のされるがままにその小さな身体を俺に預けていた。 いきなり抱いたからか? 早急すぎた?いや、あれはフルスロットルの理性でも無理だ。 正気でないのに番にしたからか? でもあの時、詩音も頷いたじゃないか。 何故?何故泣く?

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