11 / 16

第11話

起き上がる事も出来なかった1日目と歩けなかった2日目はトイレも運んでもらいました。 1日目なんて座る事も出来なくて後ろから抱えられるあの状態。恥ずかしくて抗議もしたんだけど、結局見られた。しかも全員が交代でやりたがるとか、どーゆー事なの!? 僕だったらこんな恥ずかしい事、人にさせない! …たぶん。 ヤマネさん、メルさん、キアヌさん、タチバナさん、ヒノワさん… の恥ずかしそうな… ダメ!興奮しちゃダメ! …危なく1線を越える所だった。 まぁ全員、体格差から言って僕が抱えるなんて無理だけど。 今日は月に一度の温泉施設貸切の日!! 清掃のための休館日。でも掃除はお昼過ぎには終わるので、その後の一番風呂的な時間帯を僕たちが借りている。 ヒノワさんはいつでも貸し切ってくれるって言うんだけど、ここは大人気だから楽しみにしてる人に悪い気がして断った。 最初は大きな銭湯って感じだったここは僕の提案でサウナやジャグジーや流れる温水プールも出来てどんどん大規模になっている。ジャグジーはふいご式なので仲間同士で遊びながらやる。 家族連れに大人気!! おかげで貸切じゃない日は人懐こい子をかまって遊んであげている。決して遊んでもらっているのでも同レベルになって遊んでいる訳でもない!! って、言ってるのに必ず誰かが付いて来る。まぁ、止められる訳じゃないから良いけど。 「ミツは子供しか見てないけど、ナンパ目的のヤツに狙われてるからね?」 「でも、家族向けだよ?」 「面倒見の良い子を物色してるヤツらもいるんだ。」 弟達の面倒をよく見る可愛い子が好みの人もいる、って…なるほど!まじめに将来を考えたら子煩悩な人が良いよね。種族によっては子沢山だし、早くからアプローチして他の人に取られないようにしたいとか。 そういう考えもあるんだね。 だから子供達と遊ぶ童顔な僕は狙われる、と言われれば納得せざるを得ない。 キアヌさんは癒しオーラで子く供達ともすぐ仲良くなるけど、他の人はビビらせちゃうから少し距離を置いて見守ってくれている。たまに子供の親と話をしている事もある。 それはともかく。 貸切なので温泉掛け流しの大浴場でまったり。行儀が悪いけどお湯に浮かんで手を引っぱってもらって遊ぶ。 時々イタズラで仰向けにひっくり返されて恥ずかしいけど楽しい。 ひとしきり遊んで体を洗おうと洗い場に上がると、ヒノワさんの様子がおかしくなっていた。 「おい、やめろ!!何すんだよ!?」 いつもは僕を洗うだけなのに、ヤマネさんを捕まえて洗い始めた。抵抗するけど力の差が歴然。危ないから素直に洗われれば?って思ったけど… 「ぎゃーーーーっっっ!!しっ、尻を洗おうとするんじゃねぇっ!チンコに触るな!!」 そんな所まで? 「これ…まさか発情期?」 メルさんの呟きに全員がハッとする。 発情期ってこんななの!? 聞けば人によっては抑圧された欲望が表に出てくる事がある、と。 洗い方が不満だったのかな? めちゃくちゃ丁寧に洗われている…。 でもそこまでやったらセクハラだよ。 「おい、メル!助けろ!!」 「…オレに自己犠牲の趣味はない。」 「ごめん、怖い…」 「僕も無理…」 助けに入ったら身代わりにお尻洗われちゃうんだとすると、思い切れないだろうな。ここは僕が行くしかない!! 「ヒノワさん、やめてあげて!ヤマネさん嫌がってるよ!!」 割って入ると小さく唸ってからぎらりと眼を光らせた。 がしっ。 わしゃわしゃわしゃわしゃ… いつも以上に丁寧に洗ってくれる。ほんと世話好きだよねー。血筋にアライグマまでいるとか言わないよね? 「ぁんっ!」 お風呂イスに座って後ろから洗われてたけど、当然、胸も洗われる。乳首をぬるぬる擦られたら感じちゃうじゃないか。 あれ? 丁寧なだけで通り過ぎてしまった。 ちょっと拍子抜け。 …………でもなかった。 頭のてっぺんからつま先まで洗われて泡を流すと、向かい合わせで膝に乗せられてぺろぺろ舐められる。顔、耳、首筋…跨がってるから大股開きで背後からの眺めを想像すると…ブブーッて音が脳内に響きます。 見ちゃダメ、考えちゃダメ!! 「ひゃん!!」 考えちゃダメな所を後ろからふにっと揉まれた。 ヤマネさん… 「グルルルルル…」 うわぁ、ヒノワさんが威嚇してる。 いつも穏やかなヒノワさんが人を殺せそうな殺気を放っている。これは独り占めしたかった気持かな? ひとしきり舐められて僕が気持ちよさにうっとりしていると、今度は恥ずかしい所を洗い始めた。 対面で脚を開いた状態はお尻を洗うのは楽だけど前は洗いにくいようだ。 「ふやんっ…」 お尻に指を入れたまま持ち上げられ、くるりと横抱きに向きを変えて膝に降ろされる。そして赤ちゃんみたいな横抱っこをされながらお尻をじゅぽじゅぽと洗われ、乳首をくりくりと摘まれた。うぅ…気持良い… あれ? 洗ってたんじゃなかったっけ? これ普通に前戯じゃない? なんて考えていたら僕を抱き上げて脱衣場へ向かった。 ヒノワさんは無言で僕の世話を焼く。 髪と身体を拭き、新しい布で僕を包み、自分もさっと身体を拭いて腰に布を巻いた。 オーナー専用通路を通って3階の部屋に行った。 ちなみにみんなも見守りのためなのか付いて来てます。(苦笑) 「発情期とはこんなに穏やかなものなのか?」 「知るか。俺は山猫だがもっとガツガツしちまうだろうな。」 「たぶんタヌキもだよー。」 「イタチもね。」 「…性格か。」 後で聞いたんだけどヒノワさんとキアヌさんとタチバナさんは抑制剤飲んでたんだって。 恋人も居ないのに発情しちゃうと大変だから、若い人は抑制剤を飲んで弱める。で、恋人が出来たら妊娠をコントロールする抑制剤を飲む。結婚したら全力で愛し合う。 え?結婚??? 考えもしなかった。 まぁいいや。 今はヒノワさんの相手を頑張るだけだ。 と気合を入れて、せっせと寝床を整えるヒノワさんを見守った。 …かわいい。 ここでもふかふか絨毯に大きなシーツ。食べ物と飲み物とタオルを脇に備え付けて。振り向き、僕を真ん中に座らせると満足げに頷いた。 「ヒノワさん、よろしくお願いします。」 なんだか初夜みたいな挨拶になっちゃったなー、と思ったのも束の間、いつにも増して無口なヒノワさんの理性が切れた音が聞こえた。…たぶん。

ともだちにシェアしよう!