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第26話

俺自体食べるのは遅くないため、すぐに食べ終わってしまった。 結と食べた後の皿などを返却口に返し、フードコートを出る。すぐ上からは子供の遊び声が響いており結はうずうずして仕方なさそうにしていた。 「よし、じゃあ行くか?」 「はい!」 結はもう行く気満々だったようで元気よく返事をしてきた。 まあ、パンケーキのときのことが吹っ切れてくれたのならいいんだが・・・ 結が楽しそうにしていてくれるなら俺は何も言うことはない。 だから、お前はそのまま元気でいてくれ・・・なんて柄にもなく結を見ながら思ってしまった。 結を連れて俺たちは2階へ向かった。 そこでは思ってたよりも大きなアスレチックがあり、顔こそ笑ってはいないものの結の目は輝いている。 「ほら、遊んでこいよ」 俺はモジモジして動かない結の背中を押して、中に入るよう促した。 結は不安そうな顔をしてこちらを見てくる。 「なんだ?」 「あか、ここにいて、くれる・・・?」 「当たり前だろ?お前にどっか行かれたら、探さないといけなくなるからな。お前が見えるところにはいるよ。だからお前は楽しんでこい」 結はその言葉に安心してくれたのか、頷いて中に入っていった。 俺はそんな結を少し離れたベンチから見守る。 最初こそ緊張していてなかなか最初からいた子達に混ざれず隅のほうで小さなボールを持って周りの子供たちを眺めていた結だが、意を決したのか近くにいた子供に話しかけた。 ここからでは何を話したのかは聞き取れなかったが、結がいつものへたくそな笑顔を浮かべたので安心した。 今は、結が入ってから30分程経っていたが最初に話しかけた子供と仲良くボールのプールで遊んでいる。 たまにこちらを見ては安心したようにホッとする結に俺は手を振って答えていた。 「どうした?」 急にネットが張られているボールのプールからこちらに向かってきた結に俺は近づいていく。 ネット越しの結は楽しさで興奮したようにこちらに話しかけてきた。 「もう少し、少しだけここいてもいい・・・?」 「いいぞー、好きなだけいろよ。満足するまで遊んで来い」 「・・・ありがと・・・」 そう言って結はさっきの子供のところに戻っていった。 結は意外と体を動かすのが好きなんだろうか?さっきから一回も休まずに遊んでいる。 今度大きい公園に連れて行ってやるのもいいのかもしれない。 ・・・そこまで、考えてふと思った。 俺は人の為にこんなに考えたことがあっただろうか。 好きなところに連れて行ってやりたいなんて思ったことあっただろうか。 その答えは簡単で、NOだ。 結が来たことによって俺はだいぶ変わった。 まだ、出会って2,3日、こんなに俺のことを変わらせてくれた結に感謝をしながら、結が満足して出てくるのを大人しく見守りながら待っていた。

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